レアアース 2
3月6日のブログ「レアアース」の記事について友人から、下記のようなメールをいただきました。
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今回の記事は、いわゆる「日本すごい系」と呼ばれる言説に近い印象を受けます。これは安倍元首相や高市氏の支持層に好まれやすく、再生回数が伸びて収益につながるため、YouTuberを中心に「日本の技術は圧倒的に優れている」といった情報が、YouTubeやTikTokを通じて大量に拡散されています。AIも、こうしたネット上の情報を学習データとして回答を生成した可能性はありますが、残念ながら現実はそこまで楽観的ではありません。
例えば、トヨタのEV分野での出遅れについても、何年も前から「トヨタの全固体電池が完成すればEVはトヨタ一強になる」とする動画が数多く存在します。しかし現実には、その数年の間に固体電池を実用化し、市販車に搭載しているのは中国メーカーです。一方トヨタは、BEV(完全電気自動車)ではなく、PHEV(充電可能なハイブリッド車)向けの小容量バッテリーの生産を「目指している」段階にとどまっています。
また、レアアースを使わないモーターとして紹介されることの多いEESM(電励磁同期モーター)は、レアアースを使わない代わりに大量の銅を必要とします。しかし銅は世界的に不足し価格が高騰しており、銅線盗難が頻発していることからも、その需給逼迫は明らかです。さらに、物理的な接触部品が増えることで、本来メンテナンスフリーが利点であるEVに交換部品が増え、耐久性が低下します。接触部品を減らそうとすれば、今度はさらに高純度の銅が必要となり、コスト増は避けられません。
銅すら使わないSRモーターに至っては、EVの大きなメリットである静粛性を損ない、強い騒音や振動を発生させます。その対策には追加のコストが必要となり、もともと高価なEVの価格をさらに押し上げる結果になります。
鉄とニッケルのみでレアアースを代替する技術も研究されていますが、実験室レベルで数グラムの試作品を作ることと、年間数千万台規模でEVを量産することの間には、いわゆる「デスバレー」と呼ばれる大きな隔たりがあります。耐久性の問題についても、いまだ明確な解決の見通しは立っていません。加えて、そのニッケルの生産においても中国が主導権を握っています。
フェライト磁石についても、物理法則上、大型化・重量化は避けられず、EV用途には大きな制約があります。
さらに仮に、レアアースを使わないネオジム磁石を開発できたとしても、「ネオジム(Nd)」や「プラセオジム(Pr)」といった軽希土類の需要がなくなるわけではありません。そして、それら軽希土類の精製工程も、現実には中国がほぼ支配しています。
以上を踏まえると、「日本の技術があればすべて解決する」といった楽観論は、現実の産業構造や資源供給の実態を十分に反映したものとは言えないと思います。
ちなみにGeminiのDeepResearchの結果を動画にしてみました。
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とのことです。
「それにしても、中国は毛沢東以降の短い期間で、かくも凄まじいレアアースの技術を開発し、独占し得たのでしょうか?」
とgeminiに聞けば
「中国の成功は、**「徐光憲氏による科学的ブレイクスルー」という幸運を、「鄧小平の強力な独裁体制による資源集中」と「環境を犠牲にしたコスト戦略」**で増幅させた結果と言えます」
とのことです。
びっくりです。
ちょっとしたことで、かくも世界は劇的に変わるのですから。
ステイーブ・ジョブズやビル・ゲイツみたいな人を国家が見出し、補助したというわけです。
元安川
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