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2018年2月28日 (水)

アイススケートの原理=こんなことも分からない人類

日本国政府は未確認飛行物体(UFO)について「政府としては存在を確認したことはない」とする答弁書を閣議決定したと報じられていますが、UFOどころか、冬季オリンピックで世界中の人が注視していたアイススケートが、どうして氷の上の滑るのか、その原理すらよくは分かっていません。

https://youtu.be/nTehXdgRhck?t=28s

最近まで信じられていたことは、圧力や摩擦などで氷が溶けて接触面が水になることで潤滑する=滑る、というものでした。

しかし、マイナス20度以下にもなる場所=圧力を加えても氷が溶けない場所でも、ソリは滑りますし、重くなる=圧力を上げたからといって良く滑るようになる、ということはありません。

あるいは摩擦熱で氷が溶ける、と過程すると、表面が溶けた瞬間に摩擦熱は減ることになりますし、スケートの接触面を平らにすればするほど摩擦は減りますが、そのために滑り難くなることはなく、むしろ逆の結果となります。

そして、これらに対して、最近になって出てきたのが凝着説であり、氷という水素結合で構成された分子にはかなり隙間があり、そのために氷そのものが滑り易い結晶の塊であり、その結晶の方向も重要である、とするものです。

この理論に基づいて作られたのが、長野オリンピックの時に登場した「氷筍リンク」です。この氷筍リンクでは、通常のリンクと比較して26%も摩擦が少なく、その結果、スピードスケートのタイムが大幅に縮まる事が立証されましたが、スケートというのは滑ればいいというものでもなく、氷筍リンクは問題も多くあったようです。

一方で、より滑るものを作るアイススケートとは逆に、滑らないタイヤ=冬用タイヤでも、色々な説明が行われてきました。

その説明の中には、今では否定されているものもありますし、よく考えると矛盾していることもあるのですが、社会では、何より重要なのは、原理ではなく、現実に滑らないことです。

医療行為などでも、作用機序=どうしてその薬が効くのかという説明には首を傾げるものも多くありますが、説明がどうあれ、治ることが一番です。

あるいは、「後医は名医」とか「ふぐの名医は山にいる」というように、患者が医師や治療に関して間違った評価をしていることは多くありますし、コンピュータなどのトラブルで、ユーザーが考えている原因=こうしたらこうなった、ということの多くも間違いですが、理屈はどうあれ治れば良いとも考えられます。

先日も論文の査読をする知人が「論文で都合の良いデータを集めていることは良くある」と言っていましたが、その理論がいくら正しくても現実というのは非常に複雑で様々な要素が絡むため、それを実証するのは極めて難しいことも多く、逆に簡単に納得できるような説明には眉唾なものも多くあります。

アイススケートがどうして滑るのか、こんな単純なことすら、人類が正解を得るには長い期間を要します。そして、その間、間違った説明をし、それでも氷の上で滑る技術、滑らない技術は磨いているわけです。

現実は、深く考えれば考えるほど、分からなくなるものです。STAP論文で行われたように部分的なことで全体を否定するのは間違いだと思いますし、一部が分かったくらいで全体が分かった気になるのも間違っています。

未だに、人類は風邪を治す薬すら作れないのだと、今更ながらに思うわけです。

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考えされられる記事ですね。

私も氷の上で滑るのは、一瞬氷がとけるからだと思っていました。
それが否定されたら、一気に何が何だかわからなくなってしまったというのも、面白ですね。

金正恩とトランプさんの駆け引きも、
色々なことがいわれていますが、
本当のことは、本人もわかっていないのでしょうね。
これはかなりヤバイですね。

投稿: ろだん | 2018年2月28日 (水) 15時13分


ろだんさん

悪意がなくても、専門家が素人に専門的なことを話そうとする場合、正確に説明するのが難しかったり時間がかかり過ぎて、正しいことより相手が納得し易い説明をすることがあり、医師が患者に行う説明にもその類がよくあります。

トランプ大統領にしても金正恩委員長にしても報道されている程、浅はかではないと思います。大統領選挙で行われたテレビ討論会もライブで見ましたが、日本の多くの政治家とは次元の違う高いレベルでの議論だと感じましたし、北朝鮮も良し悪しは別にして、経済力も国の規模も軍事力も桁違いの米国と渡り合っているのが現実です。裏の裏、更にその裏もあると思いますが、他人の思惑をいくら考えても仕方なく、要は自分自身の考えだとも思います。

投稿: 工場長 | 2018年2月28日 (水) 20時36分


氷って、凍ったのを取り出した時にはザラザラしてますよね。ツルツルするのは表面が溶けて水の膜ができた時ですね。
アイススケートのリンクも、何十年も前に滑った基町のアリーナのリンクの表面もザラザラしていたと、古く遠い記憶にあります。
もし氷の表面がとんがった点々でまた壊れやすいなら、摩擦は少なくなるのではと思います。
そういえば、麻酔がなぜ効くのかもわかってないそうですね。

投稿: やんじ | 2018年3月 1日 (木) 05時04分


やんじさん

そうですね。医学でも色々なことがわかればわかるほど、メカニズム(理屈)より疫学的な統計(結果)の方が重視される傾向が強くなっているようです。

人間の場合は、人体実験ができないこともあり、動物実験での検証も限界がありますから、ネズミで猛毒とされたダイオキシンも人間にとってはそこまで強い毒性はなかったり、処方薬でも治験を経て承認されるものの現場では「効かない」ということが広く知られる薬もあったり、副作用も発売から何十年も経ち、スイッチOTCになるほど誰でもが知っているような薬ですら、重篤な副作用が追加される場合があります。
ですから「新薬で副作用がない」というのは単に「副作用が分かっていない」場合が大半です。

投稿: 工場長 | 2018年3月 1日 (木) 15時31分

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科学・技術」カテゴリの記事

コメント

考えされられる記事ですね。

私も氷の上で滑るのは、一瞬氷がとけるからだと思っていました。
それが否定されたら、一気に何が何だかわからなくなってしまったというのも、面白ですね。

金正恩とトランプさんの駆け引きも、
色々なことがいわれていますが、
本当のことは、本人もわかっていないのでしょうね。
これはかなりヤバイですね。

ろだんさん

悪意がなくても、専門家が素人に専門的なことを話そうとする場合、正確に説明するのが難しかったり時間がかかり過ぎて、正しいことより相手が納得し易い説明をすることがあり、医師が患者に行う説明にもその類がよくあります。

トランプ大統領にしても金正恩委員長にしても報道されている程、浅はかではないと思います。大統領選挙で行われたテレビ討論会もライブで見ましたが、日本の多くの政治家とは次元の違う高いレベルでの議論だと感じましたし、北朝鮮も良し悪しは別にして、経済力も国の規模も軍事力も桁違いの米国と渡り合っているのが現実です。裏の裏、更にその裏もあると思いますが、他人の思惑をいくら考えても仕方なく、要は自分自身の考えだとも思います。

氷って、凍ったのを取り出した時にはザラザラしてますよね。ツルツルするのは表面が溶けて水の膜ができた時ですね。
アイススケートのリンクも、何十年も前に滑った基町のアリーナのリンクの表面もザラザラしていたと、古く遠い記憶にあります。
もし氷の表面がとんがった点々でまた壊れやすいなら、摩擦は少なくなるのではと思います。
そういえば、麻酔がなぜ効くのかもわかってないそうですね。

やんじさん

そうですね。医学でも色々なことがわかればわかるほど、メカニズム(理屈)より疫学的な統計(結果)の方が重視される傾向が強くなっているようです。

人間の場合は、人体実験ができないこともあり、動物実験での検証も限界がありますから、ネズミで猛毒とされたダイオキシンも人間にとってはそこまで強い毒性はなかったり、処方薬でも治験を経て承認されるものの現場では「効かない」ということが広く知られる薬もあったり、副作用も発売から何十年も経ち、スイッチOTCになるほど誰でもが知っているような薬ですら、重篤な副作用が追加される場合があります。
ですから「新薬で副作用がない」というのは単に「副作用が分かっていない」場合が大半です。

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