「ローカリズム宣言」とデジタル社会
この正月休みに、内田樹氏著の
「ローカリズム宣言・成長から定常へ」を読んだ。
なかなか面白かったが、読んでいるうちにちょっと違うのではないかとも思えてきた。
そんなことをちょっとまとめてみた。
東日本大震災、フクシマ原発事故は
リスクを想定して生きるべきではないか、
ということを人々に否応なく迫ったという視点から話がすすめられている。
確かに、あの時の東京の悲惨さはなんとも表現のしようがないほど悲惨であった。
首都圏全域の電車は動かなくなり、
帰宅しようにもできなくなり、
寝るところも、食べ物もない、水もないという状況に陥るということが、現実に起こったのだ。
フクシマ原発の被曝を避けるために、外国の大使館等は東京から関西に避難した。
私の友人も石垣島に引っ越したし、もしもの時にはオーストラリアに移住しようと考えてもいた人もいる。
そして今、
もっと豊かな生活をと期待するのでなく、都会から脱出する人が増えているが、
それは、田舎にいけば豊かな生活があるとは思っているから田舎にいくのではないという。
内田樹氏は、
「脱都会思考」はそれだけでなく、その背景に「成長モデル」から「定常モデル」へのシフトがあるという。
人口は増えない、経済は成長しないという「定常モデル」とはどのようなことかについて、
日本には江戸時代という参考になる時代があったではないかとも指摘する。
グローバル経済は、国民国家を液状化させただけだ。
「脱国家」を進め、「廃県置藩」をしたらいいともいう。
政府の進める「地方創生」なんていうのは、コストカットを進めるだけで、より地方の衰退を進めるだけだともいう。
そして
「食料は最低限自給できるようにすべきだ」
とも指摘する。
確かに内田氏の指摘するように、「成長」という視点からでなく、
「リスク」にたいしてどうするのという視点から世界を見ていくと、まったく違った世界が見えてくるというのは確かだと思う。
それはそれで極めて大きな意味のあることだと思う。
しかし、「ICT、スマホ」という今までこの世になかったインターネット社会、デジタル社会が生まれつつあるという視点からみていくと、まったく違った世界が見えてくるように思う。
エストニアはインターネットで国民として登録することができるという制度により、2.5万人の仮装国民を生み出したというし、
電気も電話もないタンザニアのある部落では、太陽光発電と携帯電話により、まったく新しい経済が生まれているという。
インターネットにより、国という制度が溶け始め、
電気もスーパーもなかったような開発途上国の数十億人が、時代の最先端を行く生活を始めようとしているのだという。
代表制による間接民主主義がベストだと思われてきたが、
秋葉前市長は市民の1人1人が政治に関わる直接民主主義がベストだと常常いっていた。
そんなことは数万人、数百万人、数億人の社会では不可能だと思われてきたが、
台湾政府では唐鳳氏を担当大臣を決め、ICTによる直接民主主義の試みが始められているという。
日本は、英米の先進国に追いつき、追い越せということで、頑張ってきたが、
「ICT、デジタル社会は、先進国という概念すら吹き飛ばしてしまいそうだと見た方がよさそうだ。
さらに、
「成功神話」という言葉があるが、
ICT、デジタル社会では「リスク」ということすら、神話にしてしまったと、
思った方がよさそうだ。
今までの成功もリスクも無意味になった世界が生まれつつあるのだろうか?
ICTによるデジタル社会には、はまったく別次元の「成功とリスク」があると理解した方がいいようだ。
まあそれにしても、今世界は、これまでとはまったく別次元の世界になろうとしているとみた方が良さそうだ。
新年に「ローカリズム宣言」を読みながら、そんなことを考えていた。
元安川
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世界的なIT企業のアップルやグーグルが異業種であるEVや自動運転車の参入を
進めていると云われている。世界中が新しい物を求めて、ローカルからグローバル
時代に変わりつつあるのでしょう。それと、日本は災害大国の中、東京一極集中は
賢い選択をしているとは思わない。道州制度の検討をすべきでしょう!
投稿: 鯉の応援団 | 2018年1月 6日 (土) 05時35分
アメリカのJ W フォレスターは、自ら開発したシステムダイナミックスというモデルにもとづき、計算すると、
「システムの構成要素が同一の場合、時間が経つと、最終的にそのいく着く先は、完全平衡状態になる」という理論を提案しました。
デニス メドウはその理論を発展させ、
「人口、環境汚染などが現在のような状態で続くと、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と、ローマクラブから「成長の限界」しました。
そのすぐあとに石油危機が起こり、大きな話題になりました。
ICT、スマホは、そこにまったく別次元の構成要素を加えたことになり、まったく新しい仕組みの社会が生まれようとしているということでしょうか。
それはデジタル革命といってもいいようですね。
投稿: デジタル革命 | 2018年1月 6日 (土) 17時43分
鯉の応援団さま
インターネットにより、国という境界が消えつつあり、
さらに東京に住む必要もなくなりつつあり、
既存の企業もその存続を危ぶまれるようなことが起こりつつあります。
道州制に限らず、今までとまったく違った制度が生まれつつあるということでしょうね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 6日 (土) 17時51分
デジタル革命さま
たしかに、今産業革命により世界が大きくかわったように、
いまインターネットは革命といっていいほどの変化を社会にもたらそうとしているようですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 6日 (土) 17時54分
政府がソサエティー5.0という指針を出しています。
今更政府が言わなくても既に始まっていることで、国によっては2-3年後、周回遅れの日本でも10年も先ではない、政府が邪魔さえしなければ、すぐそこにある未来だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gRSB9BxadYs
投稿: 工場長 | 2018年1月 6日 (土) 21時17分
雲を掴む様な政策では話になりません。それに残された時間も充分あるとは
言えないので、以前検討された事のある道州制の導入が賢明ではないでしょうか
投稿: 鯉の応援団 | 2018年1月 7日 (日) 05時58分
政府が言う「未来」は技術的には完成しているものばかりで米国では何年も前から実用化されているものもありますね。自動運転や無人バスも邪魔しているのは役人と乗り遅れている大企業なだけで米国の公道では時速150キロの自動運転車が地球何周分も走っているのに我が国では時速15キロの自動運転車が700mの公道を走ったことがニュースです(大笑)
投稿: たわけ | 2018年1月 7日 (日) 08時53分
科学技術や経済は民間に任せておけば良い。
政府の仕事は外交と国防。
憲法を変えて軍備を強化して国防力と外交力で国益を守るのが政府の仕事である。
そういう意味でも道州制で地方自治は地方に任せて、国会はモリカケなどではなく憲法を議論すべきである。
投稿: 大和 | 2018年1月 7日 (日) 09時00分
鯉の応援団さま
広島には、国の出先機関である中国地方○○局が置かれています。
中国地方の県をその地方○○局と一緒にすることで、道州制に移行することが考えられますね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時14分
デジタル革命さま
フォレスターの理論は面白いですね。
ノーベル経済学賞をもらうほどの価値がありそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時16分
工場長さま
ソサエティー 5.0
なんて政策があるなんて、初めて知りました。
改めて見てみると、
ソサエティー5.0とは、IoT,ロボット、AI、ビッグデータの技術開発を進めることで、経済発展と社会的課題を両立させようという政策であるとのこと、
結構な政策ですね。
それを基本政策とすれば、もっと個々の政策、予算が変わってきそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時32分
たわけさま
遅れてもいいから、
より平和に貢献するような、
日本らしいデジタル革命を実現して欲しいですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時35分
大和さま
日本の平和、世界の平和を確保、維持するにはどうしたらいいのか、
という視点から考えていくと、
自ずから答えが出てきそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時41分
どんな豊かな暮らしも核戦争が起これば一瞬で終わりますから、平和が何より重要ですが、その平和にとっても経済格差は大きな問題だと思います。
インターネットをベースにパソコンからスマホの普及で社会は劇的に変わり、その変化はAIの登場で更に大きくなります。その変化は何割とか何倍ではなく、これまでも通信速度は数年で百万倍、ビットコインも数年で百万倍というペースであり、労働生産性もこれに伴って向上します。(預金金利は0.00001ですが…)
ところが、その利益を得るのは、このままだと金融資本でしかなく、肝心の労働者には分配されません。その富の再分配を行う方法はいくつもありますが、その構造=法律を変えていくのは科学技術のように簡単ではありません。
これまで先進国の中では「富の再分配」だけはうまくいっているようにみえた日本もアベノミクスで大きく崩されているように感じます。
投稿: 工場長 | 2018年1月 8日 (月) 08時43分
工場長さま
的確なご指摘、ありがとうございます。
産業革命によって、産業資本家が生まれたように、
デジタル革命によって、金融資本家が生まれているようですね。
厄介なのはその金融資本家の資産は、ビットコインやタックスヘイブンのような仕組みにより、どのくらいのお金があるのか見えなくなっていることですね。
その額は見える額の100倍、1万倍・・
トヨタの時価総額は20兆円なのに対し、アップルの時価総額はなんと100兆円だといわれています。
日本の国家予算が約100兆円ですから、IT企業の規模の凄まじさがわかります。
そんな背景の中で、所得格差が進んでいるということだろうと思います。
その格差を無くすための富の再配分は、もう国という手続きを通してでは手に負えなくなっているともいえますね。
私の知人は、アメリカに住み、パナマの会社に資金を移しています。
見えざる神の手?
に任せるのでは、ちょっと・・・
ですね。
どうしたらいいのでしょうか?
投稿: 元安川 | 2018年1月 8日 (月) 11時47分
企業の世界時価総額は
1位アップル(米国)
6位テンセント(中国)
13位サムスン(韓国)
42位トヨタ(日本)
トヨタはアップルの5分の1、テンセントの5分の2弱しかない。
嫌韓・嫌中だの、憲法だの、国防などに拘泥している間に、AI 、IOT、ロボットなど第4次産業革命に日本は取り残されつつある。
投稿: 平 | 2018年1月10日 (水) 23時12分
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世界的なIT企業のアップルやグーグルが異業種であるEVや自動運転車の参入を
進めていると云われている。世界中が新しい物を求めて、ローカルからグローバル
時代に変わりつつあるのでしょう。それと、日本は災害大国の中、東京一極集中は
賢い選択をしているとは思わない。道州制度の検討をすべきでしょう!
投稿: 鯉の応援団 | 2018年1月 6日 (土) 05時35分
アメリカのJ W フォレスターは、自ら開発したシステムダイナミックスというモデルにもとづき、計算すると、
「システムの構成要素が同一の場合、時間が経つと、最終的にそのいく着く先は、完全平衡状態になる」という理論を提案しました。
デニス メドウはその理論を発展させ、
「人口、環境汚染などが現在のような状態で続くと、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と、ローマクラブから「成長の限界」しました。
そのすぐあとに石油危機が起こり、大きな話題になりました。
ICT、スマホは、そこにまったく別次元の構成要素を加えたことになり、まったく新しい仕組みの社会が生まれようとしているということでしょうか。
それはデジタル革命といってもいいようですね。
投稿: デジタル革命 | 2018年1月 6日 (土) 17時43分
鯉の応援団さま
インターネットにより、国という境界が消えつつあり、
さらに東京に住む必要もなくなりつつあり、
既存の企業もその存続を危ぶまれるようなことが起こりつつあります。
道州制に限らず、今までとまったく違った制度が生まれつつあるということでしょうね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 6日 (土) 17時51分
デジタル革命さま
たしかに、今産業革命により世界が大きくかわったように、
いまインターネットは革命といっていいほどの変化を社会にもたらそうとしているようですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 6日 (土) 17時54分
政府がソサエティー5.0という指針を出しています。
今更政府が言わなくても既に始まっていることで、国によっては2-3年後、周回遅れの日本でも10年も先ではない、政府が邪魔さえしなければ、すぐそこにある未来だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gRSB9BxadYs
投稿: 工場長 | 2018年1月 6日 (土) 21時17分
雲を掴む様な政策では話になりません。それに残された時間も充分あるとは
言えないので、以前検討された事のある道州制の導入が賢明ではないでしょうか
投稿: 鯉の応援団 | 2018年1月 7日 (日) 05時58分
政府が言う「未来」は技術的には完成しているものばかりで米国では何年も前から実用化されているものもありますね。自動運転や無人バスも邪魔しているのは役人と乗り遅れている大企業なだけで米国の公道では時速150キロの自動運転車が地球何周分も走っているのに我が国では時速15キロの自動運転車が700mの公道を走ったことがニュースです(大笑)
投稿: たわけ | 2018年1月 7日 (日) 08時53分
科学技術や経済は民間に任せておけば良い。
政府の仕事は外交と国防。
憲法を変えて軍備を強化して国防力と外交力で国益を守るのが政府の仕事である。
そういう意味でも道州制で地方自治は地方に任せて、国会はモリカケなどではなく憲法を議論すべきである。
投稿: 大和 | 2018年1月 7日 (日) 09時00分
鯉の応援団さま
広島には、国の出先機関である中国地方○○局が置かれています。
中国地方の県をその地方○○局と一緒にすることで、道州制に移行することが考えられますね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時14分
デジタル革命さま
フォレスターの理論は面白いですね。
ノーベル経済学賞をもらうほどの価値がありそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時16分
工場長さま
ソサエティー 5.0
なんて政策があるなんて、初めて知りました。
改めて見てみると、
ソサエティー5.0とは、IoT,ロボット、AI、ビッグデータの技術開発を進めることで、経済発展と社会的課題を両立させようという政策であるとのこと、
結構な政策ですね。
それを基本政策とすれば、もっと個々の政策、予算が変わってきそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時32分
たわけさま
遅れてもいいから、
より平和に貢献するような、
日本らしいデジタル革命を実現して欲しいですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時35分
大和さま
日本の平和、世界の平和を確保、維持するにはどうしたらいいのか、
という視点から考えていくと、
自ずから答えが出てきそうですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月 7日 (日) 13時41分
どんな豊かな暮らしも核戦争が起これば一瞬で終わりますから、平和が何より重要ですが、その平和にとっても経済格差は大きな問題だと思います。
インターネットをベースにパソコンからスマホの普及で社会は劇的に変わり、その変化はAIの登場で更に大きくなります。その変化は何割とか何倍ではなく、これまでも通信速度は数年で百万倍、ビットコインも数年で百万倍というペースであり、労働生産性もこれに伴って向上します。(預金金利は0.00001ですが…)
ところが、その利益を得るのは、このままだと金融資本でしかなく、肝心の労働者には分配されません。その富の再分配を行う方法はいくつもありますが、その構造=法律を変えていくのは科学技術のように簡単ではありません。
これまで先進国の中では「富の再分配」だけはうまくいっているようにみえた日本もアベノミクスで大きく崩されているように感じます。
投稿: 工場長 | 2018年1月 8日 (月) 08時43分
工場長さま
的確なご指摘、ありがとうございます。
産業革命によって、産業資本家が生まれたように、
デジタル革命によって、金融資本家が生まれているようですね。
厄介なのはその金融資本家の資産は、ビットコインやタックスヘイブンのような仕組みにより、どのくらいのお金があるのか見えなくなっていることですね。
その額は見える額の100倍、1万倍・・
トヨタの時価総額は20兆円なのに対し、アップルの時価総額はなんと100兆円だといわれています。
日本の国家予算が約100兆円ですから、IT企業の規模の凄まじさがわかります。
そんな背景の中で、所得格差が進んでいるということだろうと思います。
その格差を無くすための富の再配分は、もう国という手続きを通してでは手に負えなくなっているともいえますね。
私の知人は、アメリカに住み、パナマの会社に資金を移しています。
見えざる神の手?
に任せるのでは、ちょっと・・・
ですね。
どうしたらいいのでしょうか?
投稿: 元安川 | 2018年1月 8日 (月) 11時47分
企業の世界時価総額は
1位アップル(米国)
6位テンセント(中国)
13位サムスン(韓国)
42位トヨタ(日本)
トヨタはアップルの5分の1、テンセントの5分の2弱しかない。
嫌韓・嫌中だの、憲法だの、国防などに拘泥している間に、AI 、IOT、ロボットなど第4次産業革命に日本は取り残されつつある。
投稿: 平 | 2018年1月10日 (水) 23時12分
CESで渋滞中の車にドローンでピザを届けるサービスを行っていましたが、もはや住宅に届けるなんて当たり前のことですね。移動中の車にすら宅配が可能な時代になるようです。
投稿: 河野 | 2018年1月11日 (木) 10時31分
平さま
日本の企業は未だ産業革命の時代にあるのに対し、
開発途上にあった中国、韓国は、産業革命を経ずして、
一気にデジタル革命の時代に脱皮、飛躍したということでしょうね。
アメリカには、アップル、グーグル、アマゾンetc.の企業が生まれたわけですが、
日本にもソフトバンク、楽天が生まれています。
期待したいですな。
投稿: 元安川 | 2018年1月11日 (木) 10時37分
河野さま
「渋滞中の車にピサを届ける」
面白いビジネスですね。
まさにクレームにビジネスチャンスあり、ですね。
投稿: 元安川 | 2018年1月11日 (木) 10時47分