明日館と動態保存
山手線目白駅の近くに事務所を構える建築家の友人を訪ねた。
重要文化財になっている「明日館」が事務所のすぐ近くにあるからと案内してくれた。
池袋の駅近くに「明日館」があるのは知っていたが、こんなに近くにあるとは思わなかった。
「明日館」と書いてなんと読むのか、いつも気になっていたが、「みょうにちかん」と読むのだと初めて知った。
大正12年の関東大震災を挟んで、大正10年から昭和2年にかけて建設されたというが、
自由学園の教育コンセプトと相まって、
その極めて斬新な建物は、当時の日本人には衝撃的だったろうと思われる。
そしてこの建物の周辺だけが、第2次世界大戦の戦火も奇跡的に免れ、
木造建築として、
今に残っているのは、極めて貴重なことだ。
確かに文化財に値する。
設計は旧帝国ホテルを設計したフランクロイドライト氏の弟子の遠藤新氏、
旧帝国ホテルと同様外部通路や基礎に大谷石を使い、
木造の建物そして椅子はライトの特徴的な幾何学模様で構成されている。
建物の天井、屋根は低い。
日本人の背の高さに合わせたということではなさそうだ。
カフェのテーブルも40cmくらいと低い。
元々は教室、ホールとして作られた部屋が、
今はコーサート、講演会、会議、カフェ、展示室、ショップとして使われている。
このように使用しながら保存することを「動態保存」というのだという。
旧広島日銀ビルも「動態保存」の重要文化財ということになる。
この明日館は、確かによく維持管理されているが、
建ってから90年以上も経ち、その間色々あったからだろうか、当初の建物と違ってしまっているような気がする。
どこか緊張感がない。
自由学園の東久留米キャンパスの建物の設計に遠藤新氏がどのように関わっているのか知らないが、
木造建築に限ってだが、私はそちらの方が好きだ。
歴史的建造物の元々あった形での保存の難しさを、改めて感じた。
元安川
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