水素水と品格
水は健康にとって欠かせないもので、水素水も水道水などと同じように、元気の素です。
新幹線で車内配布されている情報誌「Wedge」に「水素水ビジネスの品格」という記事がありました。
そこには、伊藤園の水素水がかなりの売上を延ばしており、広告でも水素を逃がさない充填方法や、パッケージの特殊性、水素が高濃度であることなどがうたわれているが、メーカーに聞くと「水は体に良い」という効果以上のものはなく、水素水も他の水と同様に「体に良い」だけであり、タダ同然の水道水も高価な伊藤園の水素水も健康への影響は変わらず「良いもの」と説明されたということです。
しかし、いくら「嘘は書いていない」としても「水素の量が違います」「水素が抜けにくい専用パウチ容器」「業界トップクラスの水素濃度」を大きくうたっていれば、水素水に特別な価値があると主張しているとしか考えられませんし「水素水も水道水も同じ」だと分かっていて、こんな広告をしていたとすれば、詐欺紛いといっても言い過ぎではないでしょう。
記事は、こんな詐欺まがいの商売をしている伊藤園という由緒正しいはずの企業の品格を問うている内容です。
しかし、これには驚くべきオチがありました。
この情報誌が無料配布されている新幹線で、健康に対して水道水と変わらない水素水を「水素水で元気!」「業界トップクラスの高濃度水素水!」と書かれた水素水をJRが車内で販売していたからです。
水素水の健康への影響は水道水と同じだということを車内誌に載せた上で「健康に良い水素水」を販売しているJRは「品格がある」ということなのでしょうか。
伊藤園の水素水
http://www.kenkotai.jp/pss/
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水素水が体に良いことは日本医科大学の太田成男教授がネイチャーに発表した論文で明らかになったことで、水素分子が生物エネルギーを作る時に生じるヒドロキシラジカルなどの有害な活性酸素を消去し、スーパーオキシドラジカルなど有益な活性酸素は消去しないことが証明されたからです。
それから既に350もの水素水の有効性に関する論文が発表されています。
小学館から出版された本でも、リウマチ、認知症、パーキンソン病、脳梗塞、メタボリックシンドローム、ED、二日酔い、糖尿病、疲労、肩こり、アレルギー、歯周病、シミ・シワ、便秘、高血圧に効果があると書かれています。
水素水が気に入らなければ飲まなきゃ良いだけです。
どのメーカーも無理強いはしておりません。
投稿: 分子 | 2016年6月16日 (木) 16時33分
分子さん
このコメントに、きちんと回答しようと思うと、シリーズ化が必要になりそうですが、まずは浅く書いておきます。反論の余地は残りますので、更なるコメントを期待しながら書きます。
まず、日本医科大学の太田成男教授が Nature Medicine に論文を出したのは水素分子の健康への影響ですが、研究されている水素は、ペットボトルで売られているような水素水とは別物で、太田成男教授自身が「私の研究と活性水素、マイナス水素イオン、プラズマ水素、水素吸蔵サンゴ、水素吸蔵ゼオライト、一般的に販売されている水素水などとは何の関係もない。消費者の人は騙されないように」と公言されています。
また、350の論文の大半(9割以上)は、これまでもマイナスイオンなどのニセ科学を生み出してきた日本発のものです。多くは、動物実験で、水素の摂取方法は、水素ガスの吸引、水素水の飲用、水素点滴液の注射など様々ですが、市販の水素水を使ったようなものはないでしょう。
当然ですが、動物実験で得られた成果は、そのまま人間には適用できません。人間による臨床試験の論文もありますが、被験者は10人から30人が殆どで、多くても60人止まりです。
さらに、伊藤園は多くのトクホ(特定保健用食品)を出していますが、水素水については、あくまで清涼飲料水という位置づけであり、トクホにしようという研究などは全く行われていません。
つまり、企業としても本来の効能で売る気はなく、期待感だけで売ろうとしていることは明白というわけです。
無理強いはしていませんが、騙そうとはしています。
投稿: 工場長 | 2016年6月16日 (木) 20時00分
水素水については、良く分りませんが、そもそも WEDGE という雑誌のものが信用できないのでは。例えば、My News Japan というサイトでは、「原発全面広告」を出している雑誌のランキングを調べて発表していますが、 WEDGE は第4位です。(http://www.mynewsjapan.com/reports/1477)
JRは、国有から私企業になったとはいえ、巨額の赤字を税金で救済された、公共交通機関です。その新幹線の中に、非常に偏った主張を平気で載せている雑誌をただで置いておくことは、「公共性」に反するのではないでしょうか。
投稿: 高齢者 | 2016年6月16日 (木) 20時22分
高齢者さん
WEDGE に関してはご指摘の通りだと思います。
そう言えば、昨年末に、オランダの平和推進団体PAXが、核兵器の製造、管理、貯蔵に関わる企業への投融資を停止もしくは制限している金融機関を公表し、その数は150%増えていると報告していましたが、日本の金融機関は一つもありませんでした。
逆に、核兵器製造に大きな投資をしている金融機関として、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループがありました。
https://www.youtube.com/watch?v=UZWKStaBes4
三菱東京UFJ銀行に預金口座を持っている人、MUFGカードやVISAカードを使っている人も考え直した方が良いかも知れません。
投稿: 工場長 | 2016年6月16日 (木) 20時51分
私も新幹線に乗った時に、情報誌「Wedge」を読むことがありますが、
?と思うことが度々あります。
JRは大丈夫でしょうかね。
投稿: 宇品灯台 | 2016年6月17日 (金) 17時44分
宇品灯台さん
確かに Wedge は情報を得る、というより、大企業よりというか、富裕層よりというか、既得権者よりというか、政府よりというか、そういう人達がこんなことを考えているのだ、という参考に読むべきものかも知れません。
ただ、今回の水素水や自動車産業(自動運転)に関する記事は、割にまともだと感じました。
また、私は、まともな研究機関で行われている水素の医療への応用を否定するものではなく、あくまで消費者に誤解を与える表現を意図的に行っている商売のやり方に疑問を呈しているだけです。
投稿: 工場長 | 2016年6月19日 (日) 18時13分
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水素水が体に良いことは日本医科大学の太田成男教授がネイチャーに発表した論文で明らかになったことで、水素分子が生物エネルギーを作る時に生じるヒドロキシラジカルなどの有害な活性酸素を消去し、スーパーオキシドラジカルなど有益な活性酸素は消去しないことが証明されたからです。
それから既に350もの水素水の有効性に関する論文が発表されています。
小学館から出版された本でも、リウマチ、認知症、パーキンソン病、脳梗塞、メタボリックシンドローム、ED、二日酔い、糖尿病、疲労、肩こり、アレルギー、歯周病、シミ・シワ、便秘、高血圧に効果があると書かれています。
水素水が気に入らなければ飲まなきゃ良いだけです。
どのメーカーも無理強いはしておりません。
投稿: 分子 | 2016年6月16日 (木) 16時33分
分子さん
このコメントに、きちんと回答しようと思うと、シリーズ化が必要になりそうですが、まずは浅く書いておきます。反論の余地は残りますので、更なるコメントを期待しながら書きます。
まず、日本医科大学の太田成男教授が Nature Medicine に論文を出したのは水素分子の健康への影響ですが、研究されている水素は、ペットボトルで売られているような水素水とは別物で、太田成男教授自身が「私の研究と活性水素、マイナス水素イオン、プラズマ水素、水素吸蔵サンゴ、水素吸蔵ゼオライト、一般的に販売されている水素水などとは何の関係もない。消費者の人は騙されないように」と公言されています。
また、350の論文の大半(9割以上)は、これまでもマイナスイオンなどのニセ科学を生み出してきた日本発のものです。多くは、動物実験で、水素の摂取方法は、水素ガスの吸引、水素水の飲用、水素点滴液の注射など様々ですが、市販の水素水を使ったようなものはないでしょう。
当然ですが、動物実験で得られた成果は、そのまま人間には適用できません。人間による臨床試験の論文もありますが、被験者は10人から30人が殆どで、多くても60人止まりです。
さらに、伊藤園は多くのトクホ(特定保健用食品)を出していますが、水素水については、あくまで清涼飲料水という位置づけであり、トクホにしようという研究などは全く行われていません。
つまり、企業としても本来の効能で売る気はなく、期待感だけで売ろうとしていることは明白というわけです。
無理強いはしていませんが、騙そうとはしています。
投稿: 工場長 | 2016年6月16日 (木) 20時00分
水素水については、良く分りませんが、そもそも WEDGE という雑誌のものが信用できないのでは。例えば、My News Japan というサイトでは、「原発全面広告」を出している雑誌のランキングを調べて発表していますが、 WEDGE は第4位です。(http://www.mynewsjapan.com/reports/1477)
JRは、国有から私企業になったとはいえ、巨額の赤字を税金で救済された、公共交通機関です。その新幹線の中に、非常に偏った主張を平気で載せている雑誌をただで置いておくことは、「公共性」に反するのではないでしょうか。
投稿: 高齢者 | 2016年6月16日 (木) 20時22分
高齢者さん
WEDGE に関してはご指摘の通りだと思います。
そう言えば、昨年末に、オランダの平和推進団体PAXが、核兵器の製造、管理、貯蔵に関わる企業への投融資を停止もしくは制限している金融機関を公表し、その数は150%増えていると報告していましたが、日本の金融機関は一つもありませんでした。
逆に、核兵器製造に大きな投資をしている金融機関として、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループがありました。
https://www.youtube.com/watch?v=UZWKStaBes4
三菱東京UFJ銀行に預金口座を持っている人、MUFGカードやVISAカードを使っている人も考え直した方が良いかも知れません。
投稿: 工場長 | 2016年6月16日 (木) 20時51分
私も新幹線に乗った時に、情報誌「Wedge」を読むことがありますが、
?と思うことが度々あります。
JRは大丈夫でしょうかね。
投稿: 宇品灯台 | 2016年6月17日 (金) 17時44分
宇品灯台さん
確かに Wedge は情報を得る、というより、大企業よりというか、富裕層よりというか、既得権者よりというか、政府よりというか、そういう人達がこんなことを考えているのだ、という参考に読むべきものかも知れません。
ただ、今回の水素水や自動車産業(自動運転)に関する記事は、割にまともだと感じました。
また、私は、まともな研究機関で行われている水素の医療への応用を否定するものではなく、あくまで消費者に誤解を与える表現を意図的に行っている商売のやり方に疑問を呈しているだけです。
投稿: 工場長 | 2016年6月19日 (日) 18時13分