ドクターズルール
「ドクターズルール」は、米国の医療現場における規則や格言を纏めたもので、指導医が研修医の指導するときにも引用されるものだそうです。
以前から米国の医療関係者には常識的なことであり、日本の医師は未だに身に付けていない多くのことが書いてあるように思います。
私もいくつかの国の医療機関にかかったことがありますが、特に米国では、医師がこうしたことを身に付けていると感じることが多くあり、日本では未だに多くないと感じます。
以下は「ドクターズルール」に書かれている425+238項目の一部です。
1.優れた臨床医は自分が何を知らないかを知っている。
2.あなたが診ようが診まいが、ほとんどの外来の病気は自然に治るものである。
3.患者の病気がわからない時には「あなたの病気についてわかりません」と言わないこと。「あなたの病気について、今のところわかりません」と言いなさい。
4.医学のスタンダードと見なされている教科書を一冊購入しなさい。最新版が出るたびに購入すること。一生それを続けなさい。
5.現在のあらゆる医学的知識をもってしても、わからない患者がいる。
6.時間は最も偉大な診断医である。うまく利用すること。
7.診断のつかない重症患者について、問題を解決できる医師がどこかにいるはずである。その医師を見つけなさい。
8.重症または末期患者では、遠方から来る親戚に気をつけなさい。彼らはしばしばトラブルのもとになる。
9.臨床的証拠がないからといって病気が存在しないという証拠にはならない。
10.口頭での症例呈示は五分以内で行うべきである。それ以上かかる場合は、あなた自身、内容がよくわかっていないことを意味する。
11.診療経験が十年以上になるまで「わたしの経験では」と言ってはならない。たとえ臨床経験が十年以上であっても、この言葉は使わないにこしたことはない。
12.老人のほとんどは、服用している薬を中止すると体調がよくなる。
13.高齢者が急に混迷状態になった時には、感染症を考えること。
14.患者を治療するにあたって、あなたの性格は、あらゆる薬や治療法と同じくらい重要である。
15.経験を積んだナースの観察を尊重せよ。
16. あなたが病院で医師として仕事ができるのは、多くの縁の下の力持ちの人達がいることを忘れないこと。
17. あなたが生理学や生化学、解剖学についてのたくさんの知識を持っているからといって、人生や人間について豊富な知識があることを意味するものではない。患者や他の人々から学びなさい。
18. すべての医師は薬である。診断時の医師の行動は副作用を起こしうる。効果を持続させることができる。適切な間隔で与えられることがある。そして、なによりもプラセボ効果をもたらすことができる。医師であることの薬理作用を学びなさい。
19.他のことをしながら患者の話を聞いてはいけない。全力を傾けて聞くこと。
20.症状のある患者に「どこも悪いところはありません」と言ってはならない。それは患者を傷つけ侮辱する事になる。
21.患者を病名で言わないこと。あの胆石は・・とか。
22.疾病の中には治療することが出来ないものがあるが、ケアすることは全ての患者についてできる。
23.好むと好まざるにかかわらず、どの医師にも小さな「呪医」が宿っている。「呪医」の技術をかしこく、しかも患者の利益の為にだけ使う様に。
24.患者には病人になる方法を教えるのではなく、健康になる方法を教えなさい。
25.患者から希望を取り去ってはならない。
26.どうして良いのか迷った時には、あなたの家族にもするかどうかで決めなさい。
27.血液検査や尿検査の結果で病人と健康人を区別することは不可能である。
28.人が病気かどうかは、話を聞き、注意深く観察し、適切な質問を発し、理にかなった臨床決断を下すことによってのみ知ることが出来る。
29.内科的疾患による症状は、良くなるか悪くなるかのどちらかである。心理的原因による身体症状は時間が経っても変化しない傾向にある。
30.医師と患者がいったん慢性疾患、難治性疾患であることに同意したなら、その疾患は不治の病となる。
31.可能ならば全ての薬を中止せよ。それが不可能ならば出来るだけ多くの薬を中止せよ。
32.効果があるかどうか疑問に思った薬は恐らく無効である。
33.どうしてよいのかわからない時には何もしないこと。
34.貴方が変える事が出来るのは何かを知りなさい。
貴方が変える事が出来ないのは何かを知りなさい。
その違いに気づくだけの知恵を持ちなさい。
35.病気を知るよりも、その病気を持っている患者を知る事が重要である。
36.痛む部位の診察を必ず行うこと。その部位に手を当てなさい。
37.病院は危険な場所である。賢明な方法で、しかも出来るだけ短期間利用しなさい。
38.投薬を中止して患者の状態が悪くなる様な薬はほとんどない
39.治療や診断上のミスを犯したときには、患者に事実を伝えること。
患者に詫び、ミスの結果何が起こりうるかについて説明すること。
ミスの大小にかかわらず、必ずそうしなさい。
40.薬物反応は患者によりさまざまな起こり方をする。
41.4種類以上の薬を飲んでいる患者は,医学知識の及ばない危険な状態である。
42.投与薬の数が増えれば,副作用の起こる可能性はどんどん(ネズミ算式に)高くなる。
43.すべての検査結果について、必ず患者名をチェックする習慣を身に付けなさい。
報告書や検査結果が違う患者のカルテに入っていることがしばしばある。
44.他の人が読めるような字を書きなさい。
45.患者が歩くところを必ず観察せよ。
46.患者に話すのではなく、患者と話すこと。
47.医療過誤の最大の予防方法は、患者との良い人間関係と包み隠しのない正直さである。
48.患者は処方どおりに薬を飲まないことが多い。
49.普通、患者が恨みに思うのは最初に犯したミスに対してではなく、さらにミスを重ねたことに対してである。
50.患者の留守番電話に診断名を録音してはならない。
51.ほとんどの患者は自分が病気になった理由を知っている。
52.特定の臓器に特異性のある薬は存在しない。すべての薬の効力は全身に及ぶ。
53.薬についての情報をもっぱら製薬会社のセールスマン(プロパー、MR)を介して得るということのないように。
これらのことは患者も知っていた方が良いことでもあります。
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ちょっと視点を変えると,私の仕事にもあてはまるルールです。
参考になるお話ありがとうございました。
投稿: もみじ日記 | 2014年7月21日 (月) 10時05分
少し前に終了した、アメリカのテレビの医療ドラマ「ER」は、まさにこれに従って作られていたように思いました。
それぞれ一話一話が、これに従ってストリーが作れていたように、これを読んで思いました。
だから、このテレビドラマが人気になったのでしょうね。
しかしなが日本にはこんなルールのようものが無いとのことなので、日本の医療ドラマに面白みがない原因なんでしょうね。
医療ドラマは、ほとんどが陰謀ものですからね。
唯一、「Dr.コトー」くらいですかね。
投稿: やんじ | 2014年7月21日 (月) 12時14分
もみじ日記さん
確かに、色々な専門家にも適用できそうな項目が多くあるように思います。
投稿: 工場長 | 2014年7月22日 (火) 21時40分
やんじさん
アメリカの医療ドラマを見ると、ER、Dr.HOUSE、Grays' Anatomyなど、いずれも日米の医療水準の差を感じますが、ドラマの中だけでなく、実際の体験からも、こうした差を実感しました。
投稿: 工場長 | 2014年7月22日 (火) 21時41分
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ちょっと視点を変えると,私の仕事にもあてはまるルールです。
参考になるお話ありがとうございました。
投稿: もみじ日記 | 2014年7月21日 (月) 10時05分
少し前に終了した、アメリカのテレビの医療ドラマ「ER」は、まさにこれに従って作られていたように思いました。
それぞれ一話一話が、これに従ってストリーが作れていたように、これを読んで思いました。
だから、このテレビドラマが人気になったのでしょうね。
しかしなが日本にはこんなルールのようものが無いとのことなので、日本の医療ドラマに面白みがない原因なんでしょうね。
医療ドラマは、ほとんどが陰謀ものですからね。
唯一、「Dr.コトー」くらいですかね。
投稿: やんじ | 2014年7月21日 (月) 12時14分
もみじ日記さん
確かに、色々な専門家にも適用できそうな項目が多くあるように思います。
投稿: 工場長 | 2014年7月22日 (火) 21時40分
やんじさん
アメリカの医療ドラマを見ると、ER、Dr.HOUSE、Grays' Anatomyなど、いずれも日米の医療水準の差を感じますが、ドラマの中だけでなく、実際の体験からも、こうした差を実感しました。
投稿: 工場長 | 2014年7月22日 (火) 21時41分