着物のように・・・サニーヒルズ
サニーヒルズは表参道駅から歩いて7~8分、
プラダビルの前の交差点を折れてすぐのところにある。
なんとも不思議な建物だ。
細い垂木を使って布を織ったかのように、外装を組み立てている。
着物を着ているかのようでもある。
地獄組みという構法らしいが、
木の接続部は真ん中をカットし、鉄板を挟みボルトで止めている。
その内側の細い鉄骨とガラスの建物は透明で、
その存在を殆ど感じさせない。
ヒートテックの下着のように雨風をしのぎ室温を調整するという機能に徹している。
ここでは建築という概念すらが否定されているようだ。
設計は隈健吾氏だという。
木は特殊な防腐剤処理がされているのだろうが、
風雨に晒されているのだ、
持って50~60年だろうから、
いずれ、この木で織られた外装は、
着物を着替えるように、
新しい建物になるだろう、
その時どんな装いの建物になるか楽しみだ、
?
1階は受け付けカウンターしかない。
カフェとも、お菓子の店とも思えないが、
「お茶は飲めますか」と聞けば、
「どうぞお2階へ」と案内される。
2階にはテトラポッドのような不定形の形をした大きな木のテーブル1つと15席ほどの木の椅子が置かれている。
脇には木のサービスカウンターがある。
向こうには事務所があるのだろうか、客席と隔てる壁の和紙はほんのりと灯りに浮かびあがってくる。
メニューを持ってくるのかと思っていたら、
白いシャツと白いエプロンに黒いパンツ姿の女性が
お茶とお菓子を四角いお盆に載せて持ってきてくれた。
添え書きを読むと
経営は台湾の企業サニーヒルズ・微熱山丘
「完熟パイナップルをそのまま煮つめた濃厚で甘酸っぱいジャムで作られています。フランス産AOP認定発酵バターを、惜しみなく使った生地の芳醇な香りはいつも優しく包み込んでくれるお母さんの愛情や温かさをふと思い起こさせてくれます」
と書かれている。
しっとりとした味で、美味しい。
清算しようとカウンターに寄ると
「サービスです」という。
?
カウンターの上には
幅5cm、長さ20cm、厚さ3cmくらいの紙のケースと
その倍のケースが置かれている。
聞けば、先ほど食べたお菓子の5個入が1,500円と10個入3,000円だという。
売っているのはそれだけだ。
他に何もない。
??
お菓子を食べてお茶を飲んで、お金も払わず出るのはちょっと気がひけ、
5個入のお菓子を買った。
安いのか、高いのか??
しかし女性が次々と入ってくる。
なんとも不思議なビジネスモデルだ。
お菓子のお店が、
茶道の茶室のように、無駄を削ぎ落とすとこうなるということだろうか。
数百年の歴史を持つというもみじ饅頭の老舗も
こんなコンセプトのお店を作ってみたらどうだろうか。
元安川
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