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2012年6月16日 (土)

自然死

一時、安楽死ということが、話題になったことがある。
安楽に死ぬというのと、死とは、ちょっと違うのではないかと、なんとなく違和感を感じていた。

文藝春秋2012年7月号の特集記事の中で、
大井玄、石飛幸三、中村仁一の3人の医師が、
「カリスマ看取り医が勧める自然な死」ということについて、話されていた。
「人生最期のとき、病院での治療が苦しみを増している。
多くの患者を看取った医師が明かす平穏な死の極意」というのがサブタイトルだ。

いささか大げさな表現だが、
話はなかなか説得力がある。

鼎談のポイントを整理すると、
……………………………
自然死には痛みがない。
苦痛を訴える患者はゼロだ。
人間の身体には、安らかに死ぬための仕組みが元々備わっているようだ。
寝たきりの患者で身体がむくんでいることはよくあるが、
物が口から入らなくなると、自然に身体全体からむくみが引いていく。
枯れるように死んでいく。
点滴などをすると、却って心臓に負担をかけ、肺が水びたし状態になってしまう。
壮年期の医療と終末期の医療は全く違う。
病院は、病気を治すところということで、何がなんでも治そうとする。
それが、かえって患者を苦しめることになっている。

日本の介護のレベルは高い。
日本では老人ホームに入院してから亡くなるまで4年半だが、
アメリカでは1ヶ月で4分の1、1年後には半数が亡くなっている。
老人ホームで、「最後を看取るなんて出来ない」と泣いていた女の子が看取りをすると、ガラッと変わった。
「ありがとうございます」という言葉が出るようになった。

老人ホームの入居者が病気になったら、病院に送っていた。
その頃は介護士も挫折感があるのか、どんどん辞めていた。

看取りをするようになって、介護の仕事に誇りと自信を持つようになったようだ。

人間には老いる姿、死ぬ姿を次の世代に見せるという最後の仕事がある。
………………………
というような、内容だ。

こうしたことについては、これまでもあちこちで読んだことはあったが、これだけきちんとまとまって、解りやすく説明されているのは初めて読んだ。

80歳で亡くなった私の母も、こうした記事を読むと自然死といっていいようだ。
80歳に近くなって、体の具合が亡くなった自分の母親と全く同じだということもあって、死期を悟ったのだろう母は、自分が亡くなった後のこと等を全て同居していた弟に指示していた。
亡くなったときは、近所のかかりつけ医に来てもらって「死亡診断書」を書いてもらうようにも指示してあり、
それこそ眠るように亡くなった。

本当に「畳の上で亡くなった」

私も死ぬときは、そんな母のように死にたいと思っている。

この世に生を受け、生まれれば、いずれ年をとれば、誰しもが死ぬ。
それを無理に長生きさせようとするのでなく、自然の摂理に従って死ぬということには、
病院の医療とは全く違った状態があるのではないかと常々思っていた。

「自然死」ということが、きちんと認知されれば、
そこに新しい老人ホームのあり方が生まれるように思う。


元安川

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緩和ケア呼吸器内科の折口先生もブログに取り上げられている、中村仁一さんのお話ですね。
折口先生のブログにも書かれていますが、RCCラジオで朝の7時半頃から「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」とい番組で、今週と来週がこのテーマでやってます。
自分の死に方を考えておく必要があるでしょうね。
延命治療とか、痴呆になった後の胃瘻とか。

投稿: やんじ | 2012年6月16日 (土) 06時13分


随分前の本ですが「患者よ、癌と闘うな」という本がベストセラーになりました。
文芸春秋読者賞も受賞した本で、私も読みましたが、治療こそが患者を苦しめ、寿命も縮めるものだという内容でした。
それ以来、ガンになったら、治療せずに安らかに天寿をまっとうしようと考えています。

投稿: アコ | 2012年6月16日 (土) 07時52分


やんじ様

緩和ケア折口内科医院のブログは、人に優しい、素晴らしいブログですね。
やんじさんのご指摘のように、私も近頃、死から逆算して、今を考える必要を改めて感じています。

投稿: 元安川 | 2012年6月16日 (土) 08時00分


アコ様

「天寿をまっとうする」
いい言葉ですね。

私は、今まで健康保険は虫歯2本しか使ったことはありませんが、
このままずっと健康保険を使わずにいたいと思います。

投稿: 元安川 | 2012年6月16日 (土) 08時08分


最近、中村仁一医師の「大往生したけりゃ医療とかかわるな」という本を読みました。
その中には、ガンも自然死の一つで、治療さえしなければ痛みもなく、最後まで元気で最期を迎えられるというものでした。
今のところ、医療機関で安らかに死を迎えるノウハウがあるのはホスピスだけですが、この数年間で充実してきています。
死は敗北ではなく、誰もが100%迎えるものですから、もっと死についての知識を広める必要を感じました。
原発や電気と同じように誤解の多い知識なので、自分一人が理解するだけでなく、家族との話し合いも日頃から必要なことだと思います。

投稿: 星野 | 2012年6月16日 (土) 08時30分


おほめいただき、恐縮というか おもはゆいという感じしております。
関連情報を提供させていただきます。

中村仁一先生をお招きしての市民公開講演会を
9月17日(月・祝)13:30から、広島国際会議場 大会議場ダリアで開催いたします。
事前申込不要、入場料無料です。
どうぞ中村仁一先生のお話を 生でお楽しみください。
よろしくお願いいたします。
久坂部羊先生の講演会も10月または11月で企画中です。

投稿: 緩和ケア医 | 2012年6月16日 (土) 09時12分


星野様

私は「注射とお化けは大嫌い」といった感じで、全く駄目です。

妻に「俺が癌になっても手術なんかしないでくれ。
痛くないように、モルヒネだけ射ってくれ」といっているのですが、
妻は「この時とばかりに切り刻んでやる」とおどかします。

しかしこの記事を読むと、何もしないのが一番いいようですから、
お金のない我が家にとっては、これは何とかなりそうです。

投稿: 元安川 | 2012年6月16日 (土) 09時34分


緩和ケア医様

先生のブログは、大変優しく、参考になると思い、かってにリンクさせていただいています。
すいません。

9月17日の講演会、
是非出席したいと思います。

投稿: 元安川 | 2012年6月16日 (土) 09時42分


>死は敗北ではなく
これは重要な指摘だと思います。
医師の多くが「死は敗北」だと考えています。
そして、そのために患者に「人生を棒に振って」まで、闘いを挑ませます。
患者も家族も本来の目的である人生を捨てて、病気と闘う人を多くみます。
まず自分自身の死生観をみつめ、家族と共有しておくことが大切なことだと思います。

投稿: 通りすがり | 2012年6月16日 (土) 12時59分


通りすがり様

「死んだら、負け」というのは、ちょっと短絡してますよね。

でも、その昔、電力の鬼と言われた松永安左エ門が
「長生きして、何が良かったですか」
と聞かれて、
「嫌いな奴が誰もいなくなったことだ」
と答えたそうです。

私は取り立てて嫌いな人はいませんから、
私は他人より早く死ぬのでしょうかね。

アッ、いた、いた!

投稿: 元安川 | 2012年6月16日 (土) 15時35分

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コメント

緩和ケア呼吸器内科の折口先生もブログに取り上げられている、中村仁一さんのお話ですね。
折口先生のブログにも書かれていますが、RCCラジオで朝の7時半頃から「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」とい番組で、今週と来週がこのテーマでやってます。
自分の死に方を考えておく必要があるでしょうね。
延命治療とか、痴呆になった後の胃瘻とか。

随分前の本ですが「患者よ、癌と闘うな」という本がベストセラーになりました。
文芸春秋読者賞も受賞した本で、私も読みましたが、治療こそが患者を苦しめ、寿命も縮めるものだという内容でした。
それ以来、ガンになったら、治療せずに安らかに天寿をまっとうしようと考えています。

やんじ様

緩和ケア折口内科医院のブログは、人に優しい、素晴らしいブログですね。
やんじさんのご指摘のように、私も近頃、死から逆算して、今を考える必要を改めて感じています。

アコ様

「天寿をまっとうする」
いい言葉ですね。

私は、今まで健康保険は虫歯2本しか使ったことはありませんが、
このままずっと健康保険を使わずにいたいと思います。

最近、中村仁一医師の「大往生したけりゃ医療とかかわるな」という本を読みました。
その中には、ガンも自然死の一つで、治療さえしなければ痛みもなく、最後まで元気で最期を迎えられるというものでした。
今のところ、医療機関で安らかに死を迎えるノウハウがあるのはホスピスだけですが、この数年間で充実してきています。
死は敗北ではなく、誰もが100%迎えるものですから、もっと死についての知識を広める必要を感じました。
原発や電気と同じように誤解の多い知識なので、自分一人が理解するだけでなく、家族との話し合いも日頃から必要なことだと思います。

おほめいただき、恐縮というか おもはゆいという感じしております。
関連情報を提供させていただきます。

中村仁一先生をお招きしての市民公開講演会を
9月17日(月・祝)13:30から、広島国際会議場 大会議場ダリアで開催いたします。
事前申込不要、入場料無料です。
どうぞ中村仁一先生のお話を 生でお楽しみください。
よろしくお願いいたします。
久坂部羊先生の講演会も10月または11月で企画中です。

星野様

私は「注射とお化けは大嫌い」といった感じで、全く駄目です。

妻に「俺が癌になっても手術なんかしないでくれ。
痛くないように、モルヒネだけ射ってくれ」といっているのですが、
妻は「この時とばかりに切り刻んでやる」とおどかします。

しかしこの記事を読むと、何もしないのが一番いいようですから、
お金のない我が家にとっては、これは何とかなりそうです。

緩和ケア医様

先生のブログは、大変優しく、参考になると思い、かってにリンクさせていただいています。
すいません。

9月17日の講演会、
是非出席したいと思います。

>死は敗北ではなく
これは重要な指摘だと思います。
医師の多くが「死は敗北」だと考えています。
そして、そのために患者に「人生を棒に振って」まで、闘いを挑ませます。
患者も家族も本来の目的である人生を捨てて、病気と闘う人を多くみます。
まず自分自身の死生観をみつめ、家族と共有しておくことが大切なことだと思います。

通りすがり様

「死んだら、負け」というのは、ちょっと短絡してますよね。

でも、その昔、電力の鬼と言われた松永安左エ門が
「長生きして、何が良かったですか」
と聞かれて、
「嫌いな奴が誰もいなくなったことだ」
と答えたそうです。

私は取り立てて嫌いな人はいませんから、
私は他人より早く死ぬのでしょうかね。

アッ、いた、いた!

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