風邪を治せる薬はなく、インフルエンザも防げません
風邪を治す薬はありません。インフルエンザを予防するワクチンも日本にはありません。しかし風邪薬で風邪が治る、インフルエンザの予防接種でインフルエンザにならないと思っている人は意外に多いものです。
風邪で処方されたり市販されている薬は「風邪の症状」つまり発熱、咳、たん、鼻水などの緩和に過ぎません。しかも、それらを止めることが逆に風邪を長引かせることもあります。
また日本で認可されているインフルエンザの予防ワクチンは、重症化を防ぐことが主目的で、他の予防ワクチンのように感染を完全に防ぐことは出来ません。
ポリオワクチンや麻疹ワクチンなどはワクチン接種後に長期間にわたって強い感染防御免疫が誘導されますが、日本で認可されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンの皮下注射ですから、インフルエンザウイルスの感染防御に中心的役割を果たす気道の粘膜免疫や、回復過程に重要な細胞性免疫がほとんど誘導されません。
数年前から欧米で使われている鼻にスプレーをするタイプのワクチンの方が感染や発症の防衛には有効ですが、日本では認可されていません。
それでも、高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては重症化は命取りですから、それを防ぐ意味は少なくありませんし、発症を全く抑えないわけでもないので、私も家族も毎年インフルエンザワクチンの接種をしています。 それは何より、社会に広がるインフルエンザを少しでも抑え、それによって命を落とす人の数を少しでも少なくすることが目的です。
風邪を治すのは十分な水分と栄養と休養、インフルエンザについては早期であればタミフルやリレンザが有効ですが、後は風邪と同じです。
そして予防は手洗いが一番です。
風邪を治せる医療行為はありません。ただ、初期症状が風邪に似た病気は沢山あります。その診断をするために、医師の診察は必要です。
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これまで早めのナントカで症状を抑え頑張って仕事をしていましたが、これは風邪を長引かせるだけではなくて、風邪のウィルスもばら撒く迷惑行為だったのかも知れませんね。今後は改めようと思います。
投稿: アコ | 2012年1月25日 (水) 09時15分
アコさん
確かに漢方には葛根湯や麻黄湯のように風邪の初期に効くとされるものがありますが「早めのナントカ」はどうでしょうか。西洋医学的には風邪の症状は風邪のウィルスを押さえ込むためのものですから、あまり早期に抑えるのは逆効果です。特にインフルエンザのように感染力の強いものについては人にうつさないことも重要ですから、十分な水分と栄養をとって寝るのが一番ですよ。
投稿: 工場長 | 2012年1月25日 (水) 09時28分
テレビで麻黄湯がタミフル並みに効くと紹介していましたが、どうなのでしょうか。
投稿: 星野 | 2012年1月25日 (水) 15時28分
星野さん
タミフルは直接ウィルスに作用しますが、麻黄湯はあくまで症状を抑えるものです。ただ漢方の考え方は西洋医学とは根本的に違うところがあるので、比較も難しいところがあります。またタミフルも効くとはいっても、治癒を1日か2日早める程度です。
投稿: 工場長 | 2012年1月25日 (水) 15時35分