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2011年11月19日 (土)

フクシマ原発事故と配管設備

今回の東日本大震災、フクシマ原発の事故について、さまざまの議論がある。

その議論の中で、
今回フクシマ原発が壊れたのは、津波で非常用発電設備が壊れ、原子炉の冷却ができなくなったからだとし、
だから、原発そのものを、もっと高いところに作っていれば、津波の被害を受けなかっただろうということで、
原発事故は、なんとなく建築的問題はおさまりそうになっている感になっている。
ちょっと気になる。

日本建築学会としても、
それなりにきちんと検証して、発言していくべきだということで、
建築雑誌10月号で「東日本大震災と建築学会」として特集が組んでいる。

そこでは、当然様々の面からの検討がされているが、
最初に発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針が作られたのは昭和56年7月20日で、以降何度かの改定がされてきている
と書かれている。

公に原子炉施設の耐震指針が作られたのはそれほど古いことではないことがわかる。
それまでは、極めて個別の問題として審査がされていたのだろう。

この流れを見ていると
原子力発電施設の安全性は、どうももっぱら構造的に地震に耐えられるかということに焦点が絞られていたような感がある。

確かに今回もあれだけの地震に対して、原発の建物は壊れなかった。

それはそれで結構なことだが、
その特集の中で、早稲田大学名誉教授の木村建一氏が「建築者の責任」というコメントを寄せ、
「原発事故の問題は、建物の構造的な問題以外にもあるのではないか」
と指摘している。。

木村名誉教授は
「(略)
非常電源が津波を被るような非常識な配置計画の責任は100%建築者にある。
絶対頑丈なはずの格納容器が、地震に耐えられなかったのは、多分格納容器の配管貫通部あたりの損傷が原因ではないかと思われる。
これは誰の責任であろうか。
また複雑な配管が特殊な揺れを起こして破損した可能性もあるらしい。
(略)
格納容器は壁厚2Mもある立派な建築物である。
原発は原子炉だけが重要で、建築が遠くに追いやられている感が否めない。
原子力発電所の建設にあたっては、建築者が責任をもって、深くかかわるべきだろうと思う。
そうしていたら、脱原発どころか、始めから原発は作らないほうがいいと結論になっていたかもしれない」
と結んでいる。

通常の建築でも、水道管、冷暖房のダクト等が梁を貫通させているが、そうした建物の配管なら損傷したりしてもその影響もたいしたことがないし、修理すれば済むことだ。
しかし、こと原子炉の配管となると、その一部でも壊れて漏れたら大変なことになる。

発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針のなかでも「機器、配管系」として設備の耐震設計についても触れられているようだし、具体的には電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」に基づいて作れ、と書かれているようだ。

阪神大震災のあと、空気調和・衛生工学会でも、設備の耐震基準を作ったようだが、その際も原子炉の中までは検討しなかったという。

原子炉内の配管設備に関しては、特別な配慮が必要だが、それだけにいわゆる建築設備の専門家の入る余地はなかったようだ。

今回の東日本大地震で、ガラスが割れたりするのは当然のこととされているが、中には体育館の天井が落ちたり、エスカレーターが外れて落下したりという事故が、今回あちこちで報告されている。
地震の揺れに建物の構造躯体となっている鉄骨は大丈夫だけど、それに付帯した物がたくさん壊れているのだ。

そのなかに、設備系統の事故があったとは、あまり報告されていないが、現実には相当にあったものと想像される。
どうも建物の耐震性とは、躯体の構造面にだけ、適用されている概念のようだと思えてくる。

すべてをコントロールしているはずの電気系統が切れたって、原発にあっては大変なはずだ。

通常の建築であれば、設備、電気計画に関してはある程度の余裕、遊びがあれば、大きな揺れがあっても何となる。

原発の躯体が壁厚2Mもあるとは知らなかったが、躯体がしっかりしているほどには、電気、配管系統がしっかりしているとは思えない。
複雑に入り組んだ配管、電気系統が思わぬ揺れで、壊れるだろうということは、想像に難くない。

凄いキン肉マンが、内臓のトラブルで、あっけなく死亡することがあるが、そんなことだろうと思う。

そうした配管類をも含めたトータルとしての原発の建築の安全性をチェックするシミュレーションがそう簡単なこととは思えないし、
そのチェックに基づいて、安全な配管、電気系統の設備を計画、建設するということが可能だとも思えない。


原子力発電所は、配管、電気系統の設備等の面からみても、危険すぎるということがいえそうだ。


元安川

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

原子力発電自体のメカニズムは制御できても、不測の事態を呼び込む原因の究明が足りないようですね。
日本全体のエネルギー政策は「政治」かも知れませんが、それを具体化するためには研究と技術がまだ不足しているようにも感じます。震災・津波を「想定外」と片付けられた感は否めませんが、原子力を研究されている学者さんが事故後に「原発は無くしても既存の発電所で事足りる」と言うようなコメントを出されました。
足りるのに何故原発を建設するのかの疑問も湧いてきます。学者さんは何故日頃からそのことを声高に発表しなかったのでしょうか?
それにしても原子力の制御が完全でない現状が判明したわけですから、新たな建設は凍結する必要があると思います。現存の原発は別な観点から対処が求められるのではないでしょうか。

全く別な話ですが、先日地域の神社に保存されている文化財を見せて貰いました。その中に「釈迦・文殊、普賢」の像があり、勝手に名を借りた原発施設がいかに罰当たり的なものかと苦笑しました。

ずいぶん前の原発事故で、冷却するための細い管が振動で破損したという事故があったと思います。
原発の構造を絵で見せる時、とても簡単に書かれていますが、本当は複雑で入り組んだ沢山のパイプがあったと思います。それらの溶接個所の耐震性って考慮されているのでしょうか。
また、あまり問題にされていませんが、冷却用の取水口と排水口の構造物はどうなっているのでしょうか?
冷温停止には、通常の冷却経路は使われていないことから、これらは破損しているのではないでしょうか。
また、原発の建設の監督官庁はどこでしょうか?経済産業省ではないでしょうか。
防災対策の幼稚さをみると、国土交通省ではないだろうと思ってます。
記事に書かれている木村名誉教授の言葉からも、本物の建築家が原発建設には関与していなととれます。また、原発の全ての設備を耐震構造にするには、莫大な建設費がかかり、また地震でのシュミレーションをするためには、「京」でも不可能かもしれませんね。
今はどうかは知りませんが、以前は各省庁が建築基準をもっており、その建設の監督もそれぞれの省庁だったと思います。


40年も前から精力的に反原発を唱えてきた原子力の専門家は何人かいましたが、残念ながら、彼らが注目されるようになったのは福島の原発事故からで、それもネットの力によって初めて可能になりました。

1970年から2000年までの30年間の震度5以上の地震数は、イギリス(0)、フランス・ドイツ(2)、アメリカ(322)、日本(3954)です。その日本で作られた原発の殆どの設計はアメリカで、日本は僅かに関わった程度でしかありません。

ですから耐震も耐震補強をした程度、津波に至っては防潮堤を高くするとか付け焼き刃なもので、根本的な基本設計で耐震性や津波に強い原発を作ってはいないのです。その結果、日本に震度6で正常に運転を継続出来た原発は一基もありません。

既に原発の発電コストはまともに計算すればかなり高いことが明らかになりつつありますが、安全な原発を作ろうとすれば、それは全く経済的に合わないものになるでしょう。それが分かっていたからこそ敢えて口をつぐんでいた人達がいるように思います。

原発が危険であることは、原発が電気を沢山使う都から遠く離れた田舎にしか作られないことからも明らかです。田舎の人間を危険に晒して、都会の利便性を確保するような社会は否定されるべきです。

なんでも辛口様

学者は、あまりに専門的になっていて、ちょっと自分の専門から離れるとまったく解らないということがあります。
それを自覚していればいるほど、専門外のことに発言しない傾向があります。
今回の原発事故は、あまりに複雑な原発の設計、工事、運転に関し、専門家の連携が欠けていたことの結果だということも言えるかもしれませんね。

工場長様

ウーン!
わかっていても、発言しなかったということの責任ですか。
重いですね。

身の回りにはそうしたことは沢山ありますね。

瀬戸様

そうですよね。
本当に安全なら、一番電力を使用する東京の真ん中に作ればいいですよね。

それと意外と知られていないのが、原発が海に面して作られているのは、膨大な冷却水を海に流していることです。
直接CO2を出しているわけではないのですが、地球温暖化には相当に影響しているはずですが、そのことはどうしてか、あまり触れられませんね。
無視できるほどの量ではないと思うのですが。

やんじ様

そういえば、かってエンジンをはずした客船を陸につないで、ホテルとして利用しようとしたことがあるのですが、そうすると、建築基準法の適用を受けるので駄目ということがありました。
客船であれば、いいのですが、その場合は船長と日本国旗を掲げなければいけないというのです。

使用するのは人ですから、両方の法律は同じだろうと思うのですが、現実は違います。
そんな縦割り行政的なことは、身の回りの至る所にあります。

今回の原発事故はその結果の悲劇といえるかもしれませんね。

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