7月23日、中国の新幹線が追突、多数の死者がでるという痛ましい事故が起こった。
当初、原因は落雷による機器の破損によるといわれていたが、だんだん人為的ミスということが明らかになってきた。
運転手の技量不足ということもいわれている。
新幹線の運転手の研修期間がわずか2ヶ月だったともいわれているが、事はどうもそんな単純なことではないように感ずる。
「中国鉄道部は2010年12月の時点で、中国には世界一長い8,358kmの高速鉄道網があり[1、そのうちの2,197kmは世界最高の営業速度である350km/hに対応しており、
2011年末には13,073km、2015年末には25,000kmに達する計画であると発表している」
という。
日本の新幹線は1965年東海道新幹線の企業以来、46年間かけて、今年ようやく青森から鹿児島まで繋がった。
山形新幹線等を加えると、総延長は約3,020kmになる。
中国は、わずか5年間で、日本の4倍の距離を整備したというのだ。
凄まじいとしかいいようがない。
それだけ凄まじい工事を進めるために、中国はカナダ、日本、ドイツ、フランスの技術を導入し、そこに、中国が独自に開発をした技術を加えて、建設をしたというのだ。
その寄せ集めが、今回の事故に繋がったということもいわれている。
日本は車両に加え、運行管理と信号を含めた3点セットで新幹線は成立すると主張したらしいが、認められなかったという。
確かに日本が売り込もうとした3点セットも重要なことだが、実はもっと重要なことがある。
3点セットも、それを使いこなす能力のある職員がいなければ、どんなに素晴らしいATSシステムだろうと、宝の持ち腐れになる。
それだけではない、それぞれの場にいる職員の能力のすべてが完全でないと、今回のような事故になる。
マスゲームや、シンクロナイズドスイミングのように、全員が気持ちを一つになって、動いていないと、シンクロナイズドスイミングにもマスゲームにもならないのだ。
どこか1ヶ所でも違った動きをすれば、即それが事故になるというのが鉄道だ。
鉄道を運行するには、線として繋がっているハードとソフトのすべての要素が、システムとしてきちんとしていなければいけない。
今回の事故はATSが作動していなかったというが、作動していないということは、どういうことか、そんなときはどうすればいいのか回復させるにはどうすればいいのかまでを、きちんと鉄道員全員に理解させ、行動させるには、大変な時間の手間がかかる。
中国は2ヶ月の研修で新幹線の運転手にしているというが、日本では新幹線の運転手になるのに6年間の通常車両の運転手として実績と10ヶ月の研修が義務付けられているという。
新幹線を運行するには駅員から運転手、車両検査係まで全員がプロであることが求められる。
それが鉄道なのだ。
トップは駄目だけど、現場力が強いというのが日本だ。
鉄道は極めて日本に適ったシステムがだといえる。
その象徴が新幹線だ。
よその国の人が日本で1番驚くのが、電車の発車、到着時刻の正確さだといっていた。
その正確さを隅々までもとめられるのが、新幹線だ。
それが、道路と車の場合は違う。
道路は道路で安全につくり、車は車で安全に作り、安全に注意して運転すれば、安全は保たれる。
道路と車は、それぞれが独立している。
鉄道はそうはいかない。
東海道新幹線の長さ 552kmに対して、 JR東海の職員1.7万人のうち4分の1が新幹線の運行に関わっているとすると約4千人となる。
4千人×6=2.5万人となる。
中国の新幹線の長さは、日本の4倍だから、2.5万人×4=15万人の職員が新幹線の運行に関わっていることになる。
15万人もの極めて高度な技術をもった職員を養成しなければいけないというわけだ。
これは仮定に仮定をしての数字だが、私の言いたいことは、その数字の正確性に意味があるのでなく、ともかく何十万人という極めて高度な能力をもった職員を、4年間で教育しなければいけなかったということは、現実には、殆ど不可能だろうといいたいのだ。
ATCがあるから大丈夫だというのだろうが、それは逆だ。
技術が高度になればなるほど、それを使いこなすのは、さらに高度な能力をもっていないと使いこなせないのが技術だ。
中国の新幹線が、安全に運行されるには、まだまだ当分時間がかかるというべきだろう。
まだしばらくは、中国の新幹線に乗るのはちょっと心配だ。
元安川
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