映画「弁護士・布施辰治」
布施辰治と言う百年前に活動した弁護士を描いたドキュメンタリー・ドラマ映画を観た。
いま何故「布施辰治」なのか?
朝鮮人の人権擁護と朝鮮独立運動への支援、普通選挙権運動など日本の民主化運動の先駆者の生涯を資料と証言とドラマでつづっている。
布施の生誕130年と日韓合併百年を機に民衆の視点から歴史を見直す感動の映画だ。
この映画を一般公開する実行委員会が発足した。
布施辰治は宮城県石巻市出身、隣の女川町出身で映画の制作委員会の代表を務めた元日弁連会長の阿部三郎弁護士らが「平和を求め正義を貫いた郷土の生んだ偉大な人物の生き方に光を当てよう」と取り組んだ。
脚本・監督は山本薩夫、今井正、橘祐典に師事し小林多喜二や田中正造などのドキュメメンタリー映画を手掛けている池田博穂。「民衆の視点から歴史を見直し、過酷な時代に命をかけて闘った人間の覚悟を胸に刻みたい」と狙いを語っている。
1910年、日本は朝鮮併合を強行し、農民から土地を奪い、言葉や文字も日本語化させ氏名も日本名に変えさせる「同化政策」を進めた。故郷を捨てざるを得なかった朝鮮人は日本に渡り炭坑や紡績、造船、鋳物工場など劣悪な条件で働かせられた。
日露戦争に勝利した日本は中国大陸へ侵略を進め、国内では驚異的なインフレが進む。
生活苦から自殺や捨て子、社会的犯罪や労働争議が多発し、米よこせデモに百万人以上が参加するなど、騒然とした時代を迎えた。
明治法律学校(現・明治大学)で学んだ布施は、1921年21歳で判検事試験に合格し検事として踏み出した。しかし、足尾鉱毒事件での田中正造の活動を通じて「検事の仕事とは虎や狼の行為だ」と検事を辞めて弁護士の道を進み、トルストイに共鳴して人道主義に心酔し「社会運動の一平卒となる」と弾圧と闘う弁護士活動を終生貫いていく…。
朝鮮独立宣言(‘19年)が出され運動が盛り上がり、弾圧が激しくなるとその弁護を引き受けながら、朝鮮にわたり各地で朝鮮総督府政治への痛烈に批判を展開する。
関東大震災の時に起きた朝鮮人の虐待事件の真相を明らかにさせる闘いやでっち上がられた朝鮮人による“大逆罪”(天皇殺害計画)事件の弁護に立つ…。
こうした布施の活動に対して権力の攻撃は壮烈で治安維持法違反事件の弁護での言動を問題にした懲戒、布施の弁論を問題視しての新聞紙法違反、そして弁護士資格の剥奪、治安維持法違反で投獄…。
京大で学生運動に取り組んでいた息子が検挙され44年に獄死する。
弁護士資格を奪われて息子の弁護も出来ず「俺の息子ゆえに殺された」との思いを強くし、戦後はいち早く弁護士資格を取り戻し、朝鮮建国憲法の私稿作成に取り組む活動を開始し、三鷹、松川、メーデー事件等公安事件の弁護に関わり、73歳の生涯を閉じる。
韓国政府は2004年、独立に寄与したあい愛国の士に贈られる「建国勲章」を贈った。
布施の生誕130年、韓国強制併合100年に、虐げられた者、社会的弱者の立場に身を置き生涯は「民衆と共に生き、民衆の為に死す」を貫いた弁護士の存在をクローズアップさせて語りかける…。
日本にもこんな凄い人がいた…清々しさと共に勇気を奮い起させる…映画だ。
上映会:西区民文化センターで2月18日(金)
① 10時~ ②14時~ ③18時半~上映予定
会費=1000円(当日:1300円) 大学生以下800円
問い合わせ:ドキュメンタリー映画「弁護士 布施辰治」広島上映実行委員会
広島市中区堺町1-2-9 貴志ビル1F
http://www.h-eigacennter.co.jp
E-mail =info@h-eigasenter.co.jp 082-293-1119
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