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2010年9月15日 (水)

交通基本法と『移動権』

昨年の11月頃から、国土交通省で「交通基本法」の検討が進められている。

「交通は、人や物の移動に不可欠であり、あらゆる活動の基礎となっています。
人の移動権を保証することが交通基本法の原点であるべきです。
人口減少、少子高齢化、地球温暖化対策等の諸課題に対処するため交通政策全般に拘わる法整備や支援制度の検討が必要です」
という考え方を基本にして、新たな法律を作ろうとしているのだという。

身障者や高齢になって、車の運転が困難になった人等のいわゆる交通弱者に対しては、公共交通の整備が必要だというのはよく理解できる。
また車の排気ガスを削減するために、鉄道、路面電車やバス、そして自転車等の環境負荷の小さい乗り物に乗り換えましょうというのもわかる。
そして燃費のいい電気自動車EVの促進、自転車専用レーンの整備、情報通信技術の導入、コンパクトシティーへの誘導等、「乗り物、交通体系、まちづくりの整備を一体化」して進めましょうともいうのもいいことだ。

今まで交通に関連したそれらのことが、福祉政策であり、産業政策であり、公共工事であるというように、バラバラに進められてきた。

道路は建設省道路局が作り、港、空港は運輸省港湾局がつくり、車は経済産業省が所管し、進められてきたわけだ。

今では海の中にも、山の中にも素晴らしい道路ができ、そんなところに道路を作ったって、誰が使うんだ、猿か熊しかつかわないよ、といわれるようなところまで道路がつくられてきた。
この狭い日本国内に、100近くの空港が作られたが、飛ぶ飛行機がいない、海外に行くには仁川空港の方が便利だというような状況まで起こっている。

こうした状況をみれば、交通体系を総合的に見直すべきだということは、当然のことだろう。

国が、広島市で進めているようなクロスセクション的な行政をするために、そのベースとなる「交通基本法」を作ってやろうと言うわけだ。

そのためには、厚生労働省、環境省、経済産業省、国土交通省等、いままでの縦割り行政の枠を越えて、あらたな法律が必要だということで、交通基本法が作られるのであれば、それは素晴らしいことだ。

今回のこの交通基本法のベースとなっているのが、『移動権』という考え方だという。
移動権?
聞いたことないな。

誰でもが、自分の行きたいところにいけるのは、人間としての権利だというわけだ。

フランスではすでに「交通権」を認め、法律が整備されてきているという。

これに対し、私の友人は、
「移動権として、権利が保証されるのはいいが、その権利が侵された場合、その被告となるのは誰か。
バスや船の事業者か、自治体か、国か」と質問する。

「ウーン、誰になるんだろう?」
極めてキツイ質問だ。

彼が言わんとすることは、
「高速道路が無料化されたことで、離島を結ぶ船舶会社の経営が極めて厳しい状況になった。
そのため、便数を減らしたり、更には航路を止めてしまうというようなこともせざるを得なくなっている。

広島の郊外の住宅地では、人口減少と少子高齢化が進み、バスの利用者が減り、やむを得ず便を減らしている。

そのため、住民は不便だからと、交通の便のいい都心に住みかえる人も増えている。

その結果、ますますバス、船の便が減り、不便になる。
そしてまた利用者が減るという、負のスパイラルに落ち込んでいるというような現象が起こっている。

こうした問題について、船の利用者、バスの利用者から、『バス、船の便が少なくなって、病院にもいけなくなった。そのため病気がひどくなった』
『移動権の侵害だ。』として告訴されたら、その被告は誰になるのか。

『バスの便が減って、生活が不便になって、仕方なく都心に越した。
本当は今まで住んでいるところに住み続けたい』
『今まで住んでいた住宅を買いあげてくれ』といわれたら、
その費用は誰が負担するのだろうか」

或いは
「バスの便が減り、住宅地としての資産価値が減った。
売ろうとしても売れないじゃないかといわれたら、どうするんだろうか」
というわけだ。

今までもバスの便が減った地域では、必要があるときに限定して応えられるようにと、デマンドバスとか福祉バスとかを運行してきた。
青森市では、コンパクトシティー宣言をして、都市部への移住を促進している。
いわば移動権の保証を、地方自治体が福祉政策の一環として、或いは街づくり行政の一環として行っているといえる。

移動権を保証しなければいけない状況は地域によって大きく異なることも確かだ。

そうしたことを考慮してか、国は今回の交通基本法では、地域の事情に十分こたえられるようにと、予算は、地域に一括して交付する仕組みを作ると言っている。

任せられる方の地域も大変だ。
責任転嫁だといえなくもない。

しかし国の組織はあまりででかすぎる。
そこでクロスセクション的な対応をするとか、地域によって異なる事情にきめ細かく対応するというのは、所詮無理な話だろう。

ここはチャンスでもある。
交通基本法の成立を契機に、一気に地方分権を進めたらいい。


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