雲助さんNY凱旋公演
5月にニューヨークの国連で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議に呼応した大衆行動に日本から被爆者をはじめ2千人を超える人達が参加した。
この欄で数回ご紹介してきた講釈師の緩急車雲助さん(久保浩之:78)が原爆投下の恨みを小さな蟻を通じて晴らすという怪談・紙芝居『蟻の祟り』を引っ提げてNYの街頭で行った講演の報告会が開かれた。
紙屋町の市民団体アオギリ事務所で開かれた会には30人を超す古くからのフアンが参加。
物の怪話・怪談『蟻の祟り』は被爆者である妻との間で子どもの誕生や成長に合わせて苦労した緩急車雲助さんの体験を下敷きに、原爆の放射能被害の実態や被爆者の苦悩と心情をベースに核廃絶を訴える作品。
初めて聞いた一昨年の秋?「面白い‼紙芝居にすればもっと良い!!!」と紙芝居化を勧めた。間もなく友人の素人漫画家が被爆者の心情を画面一杯に込めた30枚余の紙芝居に書きあげた。
物語は被爆少年のケロイドを食べた蟻の子孫が被爆者をABCCの検査に強引に連行した米軍属を噛んで痒みが止まらない湿疹を移す。本国に帰った軍属は英雄として大統領や軍幹部に握手やハグでむかえられる。所が、かゆい湿疹は原爆開発や投下や拡充に手を貸してきた人にだけ次々と伝染して今も続き、被爆者が長年押し殺してきた何時発病するか判らない放射能への恐怖新と原爆への恨みを込めて…晴らす…。
作品は約1年間で50回を超える講演で講釈内容も絵も試行錯誤しながら手直しした。
友人の中には「大統領を天皇以上に考える米国人が大統領まで湿疹被害が伝染する怪談話」に逆恨みして狙撃される?とまで言うものも現われて緩急車さんを悩ませた。
そこで、プラハで「原爆投下の道義的責任」に言及したオバマ大統領には伝染しない…という落ちをつけて締めくくり「核廃絶に向かう米国への期待」を込めて妥協?した。
NYでは4月30日から5月3日まで国連ビル近くの公園の一角や道路の交差点などで声を張り上げて上演した。紙芝居の英訳を見ながら足を止めて聞き入った。警官に取り囲まれて中止を迫られる場面もあった。ここで逮捕も覚悟で闘う策もあったか…?とも考える。
5年前より警備も厳しく「オバマはうそつき…」と彼の核廃絶姿勢をあからさまに批判する人もいた。10万人のデモが僅か1万人デモになったのは不況克服できず平和勢力にしわ寄せを招いたオバマ政権のせいだ…と指摘する声もあった。
一方、インターネットの動画サイト乗せる為紙芝居を撮影した米国人3人組もいた。
積極的に握手を求める市民も多く物の怪・講談「ありの祟り」は米国でそれなりの理解を得た…講釈師・緩急車雲助さんは「米国・NY行脚は成功裡に終わった」…と総括した。
『蟻の祟り』はこの1年の口演トレーニングと米国・NYの旅を経て被爆者の心情・本音と核兵器に対する神話を信じ続ける米国人の間にある壁や溝を『和解』という理性で繋ぐ実にスケールを大きな講談に成長した。
しかし、将来、雲助さんがこの筋書きを『オバマにも伝染した…』と書き換える事が無い事を心から祈念したい…。
大人から子どもまで楽しみ、なおかつ核兵器廃絶に寄せる熱い思いを知る為にも、皆さまにも一度是非聴講して頂くようにお勧めしたい。ご一報ください。紹介します。
佐々木典明<090-8600-9412>
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