映画「抵抗のプラハ」
シネマクラブ・ひろしまの例会で第二次世界大戦終盤のチェコを舞台にしたレジスタンス映画「抵抗のプラハ』を観た。
抵抗運動のため命をかけて勇敢に闘った体験がベースで、目を覆いたくなる悲惨な場面が多く、ナチスの圧政を浮き彫りにした悲しく胸の痛い作品だった。
‘70年制作のカラー作品(90分)だが画面は青や緑色が脱色し赤系統が残る“カラーのセピア色”に字幕も見えにくく音声も退化気味と上映条件は極めて良くなかった。しかし、それがむしろ凄惨なギロチンの場面などを薄らぐ効果になって見るに耐えた?
歳末に見たポーランドの巨匠ワイダ監督が同じ時代にドイツとソ連が引き起こした将校の大量虐殺による圧政を描いた「カティンの森」(1月5日:当ブログ掲載)と重なる東欧の小国がナチスとソ連に翻弄された歴史の裏側に潜む、暗くて重い事実…だ。
映画は‘42年占領軍のナチの総責任者が暗殺されたチェコの首都プラハが舞台。この暗殺事件を取り締まる戒厳令のもとで共産党とレジスタンスに関わる者たちが証拠もないまま次々に逮捕される。処刑の銃撃音を背景に流れるベートーベンの“第九”や“悲愴”が恐ろしさや物哀しさを誘って怒りを盛り上げる…。
重要メンバーの一人が隠れ家の窓から脱出しようと試みて落下して捕えられるが決して自分の正体は明かさない。ゲシュタポは彼のポケットにあった鍵を手掛かりに沢山の合鍵を作って街家をシラミツブシにレジスタントのアジト探しに狂奔する。鍵はいち早く取り換えられてアジトの発見には至らないが、抵抗して逮捕された者達は彼の身元を証明すれば命を助けるといわれるが、皆黙ってギロチンに向かう…。
抵抗者は殺しつくされるがやがてチェコにも闘いが終わり平和の芽が吹き始める…。
この映画の原タイトルは『the kye(鍵)』で正しくアジトの鍵を巡ってレジスタンスがナチの追害を国と民族の誇りと結束を抵抗で守りぬいた闘いの記録だ。
今ではなかなか見ることが出来ない秀作映画をこうして鑑賞できる機会は極めて貴重だ。
シネマクラブひろしまは間もなく2周年を迎える。年3~4回の定期上映と殆んど毎月、広島映画センターがストックする邦画・洋画数百本の中からピックアップ上映する『ワンコイン上映会』<会員500円会費>をしている。
三年目を迎えて新会員の募集も始めている。1年会費:個人千円、家族:千五百円。
会員に観たい映画のアンケートを取りながら近く新年度の“上映候補作リスト”アンケートも行う。多くの映画フアンの参加を待っている。
問い合わせ:シネマクラ・ひろしま:広島映画センター内 http://cc-hiroshima.ciao.jp 082-293-1274
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