正月飾りとお屠蘇
街中のマンション住まいのお正月は味気ないと思い、入居以来30年我が家ではささやかな正月飾り付けをしてきた。玄関ドアの両サイドには町内会が配布する印刷の門松にドア正面には飾りしめ縄を付ける。玄関には布で出来た民芸品の御鏡と稲穂の飾り付けに生花。
10畳の和室にある小さな床の間には三宝に乗せた御鏡に獅子頭と掛け軸は日の出を布の織物であしらった縁起物が飾られるのが我が家の習わしとして定着した。
元日には何時もお世話になっている漢方薬局が暮れに届けてくれる「お屠蘇」を頂く。
大晦日の夜、日本酒に「屠蘇」を入れて仕込む。お酒ではあるが息子に娘の家族がそろって孫たちも形ばかりだが全員が頂くことにしている。
この「お屠蘇」は縁起物であるが紛れもない漢方薬である。
一般的には一年の邪気を払い長寿を願ってお正月に飲む薬酒「蘇」という悪鬼を「屠(ほふ)る=皆殺しにする」という意味で数種類の薬草が組み合わされている。従って、漢方薬である以上それなりの効能がある。勿論ルーツは中国で風の予防薬や胃薬などとして重宝された記録もあるようだ。
中国ではそれが唐の時代にオイシイと言われて流行り、何故か正月の飲み物になった…。日本では宮中で平安時代からと言われ、江戸時代から庶民にも伝わり、年末に医者が薬代の返礼に屠蘇を配るようになり、今もその習慣の名残として活きている…という。
因みに胃に良く抗菌作用もある山椒の実や沈痛や咳や痰を取る作用がある桔梗の根、発汗解熱に健胃作用のニッケの樹皮など数種の胃腸の働きや血行良くし風邪をひかないようにする効用の漢方薬で、無病息災の願いを込めて縁起を担いだ…とする説は至当のようだ。
我が家では七草粥で正月の習わしは締めになるが何はともあれ、6度目の年男に当たる今年は3人の孫が小、中、高校へ進む節目の年。
縁起担ぎではないが日々の散歩を愚直にこなし、病気と共生しながらこの子たちがもう少し成長するまで踏ん張りたい…と正月飾りにも願いを込める今年の年頭である。
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