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2010年1月 5日 (火)

ワイダ監督の映画「カティンの森」

 監督の父が犠牲者の一人で、50年余にわたって映画化を温めてきたポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の最近作『カティンの森』の試写を観た。暗く重い作品だが東欧の小国がドイツやソ連に戦後も翻弄されて歩んだ、歴史的背景も見えてくる作品だった…。

 最初の画面に“両親に捧げる”とある。監督の父は1939年9月にソ連軍の捕虜となり虐
 ドイツのヒットラーとソ連のスターリンの密約でポーランドは’39年1月にドイツに、9月にはソ連に侵略された。’40年を境に、ソ連の捕虜となった1万5千人のポーランド将校が行方不明になったが’43年春にドイツ軍がソ連に侵攻した際、カティンで数千の遺体を発見した事から事件が明るみななった。ドイツはソ連の仕業としたが、ソ連は反対にドイツの仕業とした。
 戦後、ソ連の衛星国となったポーランドでは長く「カティンの森」事件に触れるのはタブーとされていたが、’89年秋ポーランドの雑誌が「カティンはソ連軍の仕業」として証拠を掲載した。ソ連政府は翌年になってKGBの犯罪と認め、エリツィン大統領はスターリンの命令だったことを明かした。しかし、ポーランド政府は『カティンの森』事件について国民に沈黙を強いて、抵抗者には厳しい罰則を課した…。

 映画はソ連軍の捕虜になった監督の父と同じ名前のポーランド軍の大尉の夫を捜しやっと夫と会えたが、すぐに引き裂かれる。妻は混乱の中を夫の両親と一人娘を抱えて生きる。
しかし、大学教授の義父も前後して多くの教授たちと一緒にソ連軍に連行され虐殺される。
 後に、夫が克明に付けていた手帳が発掘され、知人を経由して妻もの手元に届く。そこに記された内容が当時の記録フイルムと一緒に明らかにされていく…。
 捕えられた軍人たちの姿と、彼らの帰還を待つ家族の姿を通して…一筋の希望を便りに耐え忍んで生きる家族たちの不安と恐怖…戦争に翻弄される人間の叫びが…描かれる。

 「カティンの森の虐殺事件」名は聞いてはいたが、アウシュビッツとは比較にならない…第二次世界大戦中のヨーロッパや東欧の各地で起きた戦争・紛争の一部と考えがちだ。
 
 ワイダ監督はデビュー間もない1950年代半ばに事件の真相を知って、自ら映画化を強く希望していたが、冷戦下のポーランドではこの事件はタブー化され封印されてしまった。
 しかし、冷戦崩壊で少しずつ真実が明かされ始め、時間から70年近くたって、積年の想いがこもった映画が出来上がった…。
 戦争の世紀を象徴する隠された残虐な事件を記憶に留めるうえで、鑑賞を勧めたい。
 広島での上映は2月からサロンシネマで予定されている。
 問い合わせ:<サロンシネマ>…広島市中区大手町5-8-6 082-241-1781

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