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2009年12月24日 (木)

住宅建築の資産価値

私の友人が、事情があって自宅を売却したいと、ある大手の不動産会社に査定してもらった。
土地は約200坪、建物は約80坪もある。
大きなコンクリート製の住宅だ。
竣工は昭和58年だから、すでに築27年ということになる。
あちこち錆びたり、水回りやエアコンは古くなっているが、建物そのものはしっかりしている。
ひび割れもなく、雨漏りもまったくない。
丁寧に作られている。
デザインは建築家の設計だから、なかなか芸術的な味わいのあるいい住宅でもある。

査定価格は、土地が8,000万円、建物が1,000万円の計9,000万円だ。
いささか大きすぎるということと、価格が高いということで、一般的ではないということでそんな価格になったようだ。
それにしても、建物部分の評価が低いのには呆れる。
彼は、建設時の10分の1にもならないと嘆いていた。
地下の駐車場や屋根裏部屋は全くカウントされない。
土地しか価値はないというわけだ。

最近100年住宅とかがいわれ、住宅を長持ちさせようということで、建物の構造、材料をしっかりしたもので作ろうと活動が始まった。
しかし100年持つような住宅を作ったところで、その価値がほとんどゼロとしか評価されないようでは、何もお金をかけて100年住宅を作る必要はないと誰しもが思ってしまうだろう。
建物の価値が認められなかったのは、戦後、日本中が焼け野原になってしまったときに、ともかく雨露が凌げればいいということで、住宅はバラック同然で作られてきたという歴史もある。
日本の経済も急激に回復、発展し、豊かになって見直された時には、そうして建てられた建物の価値は全くなかったということだろうと推察される。

しかしここ数十年の間に作られた建物は、いまだ十分に使用に耐える状態にある。
それなのに建物の価値を殆ど認めないというのは全く解せない。
その住宅が、建築家が作品として作っているのであれば、余計だ。
絵画や陶器と同様その価値を評価する仕組みもあるべきだろう。
殆どの住宅は、芸術作品としての価値を全く評価されないというのも、大変悲しいことだ。

畳となんとかは新しいほうがいいなんて言い方も日本にはある。
日本酒は新酒の方がうまいなんていうのは、酒造メーカー陰謀だということを聞いたことがある。
古酒をつくると、資金の回転が遅くなって大変なのだという。

そうしたことが日本の文の背景にあることが、東京駅の中央郵便局の取り壊しという発想の原点にあるのではないだろうか思えてくる。
そろそろ建物の資産としての価値についてその仕組みそのものを作り変える時が来ているようだ。

アメリカでは、住宅を取得してから、あちこち手を入れて、取得時より高く売るというのは珍しいことではない。

日本の古民家はようやく、その価値を評価されるようになってきた。
中古のオフィスビルを取得し、改装して高く売却するというビジネスモデルも生まれてきた。
そうした建物の価値、そのものを評価する仕組みを一般の住宅にももっと広げるべきだし、建築家の作った住宅の価値については、それは別途評価するという仕組みもつくるべきだ。
建物の価値を評価しないというのは、あまりに雑すぎる。
建物の評価するのはそんなに簡単なことではない。
しかしだからといって今のままでいいというのはおかしい。
スクラップ&ビルドはあまりに勿体ない。
能がない。

古くなった住宅建築を資産としてきちんと評価する仕組みを創ることが、こらからの時代の求めるビジネスモデル作ることにもなるのだろうし、わが国が真の意味で豊かになるということではないだろうか。

住宅建築についても価値観の転換、パラダイムシフトをすべき時がきているようだ。

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