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2009年10月31日 (土)

幻の名曲「原爆の子の像」

 広島の平和公園にある「原爆の子の像」をテーマにした曲は沢山ある。今年私が関わった二つのコンサートでの曲を紹介する。
 一つは被爆60周年の平成17年に始まった「慰霊の夕べコンサート」が8月12日、広島市中区のアステールプラザで開かれた。広島少年合唱隊が「折り鶴の飛ぶ日」を演奏した。原爆の子の像のモデル、佐々木貞子さんの話に感動した横浜の少年少女合唱団の主宰者が「広島の子に歌ってほしい」と、広島少年合唱隊に依頼した曲だ。今では同隊の持ち歌になっている。
 もう一つは7月12日、広島市制120周年記念「広島の歌コンサート」で扇ひろ子さんが歌った「原爆の子の像」の歌だ。扇さんは生後6か月で広島市南区で被爆、父を亡くした被爆歌手。扇さんの話に感銘を受けた石本美由起さんが作詞、遠藤実さんが作曲。19歳の扇さんは昭和39年平和祈念式典で本名の乗松博美として歌った。
 著作権を広島市へ寄贈した為、同年発売した「赤い椿の三度笠」がデビュー曲となった。今年45周年を迎えたが、これまで数回しか歌っていない封印した幻の名曲だ。
 扇さんは「新宿ブルース」などのヒットで、紅白歌合戦にも2回出場。映画女優としても活躍。華やかな表舞台の裏で、原爆症への恐怖心をいつも抱えている。体調の悪い時はどうしても原爆症と結びつけてしまう。
 「この曲は華々しく歌えない。歌うと涙が出てしまう。母がいつもプロは涙を見せてはいけないと言っていました」広島市のコンサートで涙をこらえて歌っていたのが印象に残った。
 「広島の体験は風化させてはいけません。私は亡くなった人々のために伝えていく義務があります。それにしても原爆ドーム周辺は高いビルが立ち並んで、昔に比べると小さくなった感じです」と話してくれた扇さんがまた歌ってくれることを望むと同時に、この名曲を合唱団が歌い継いでくれることを願っている。

上村和博

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