映画「アンを探して」に込められた反戦平和の願い
日本とカナダの共同製作映画「アンを探して」を見た。長年、企画を温めて来たプロデューサーに若干30歳の監督の女性コンビを迎えての試写会だった。
「赤毛のアン」が出版されて100周年を記念した企画の一環でカナダ政府の一億円の助成金をベースに日本政府も助成を協力しアンの故郷カナダのプリンス・エドワード島で26日間のオール・ロケで制作された。
物語は2008年の夏。プリンス・エドワード島に一人の少女・杏里がやって来る。一緒に来るはずだった祖母・静香が大切にしていた「赤毛のアン」を持ってきた。祖母が60年余も前に戦争の傷跡が残る東京で、初恋の相手だったカナダ人兵士に貰ったものだった。祖母が残したノートには黄ばんだ灯台の写真とバラの花“ピース”が描かれていた。これを手掛かりに少女は祖母の初恋の人を探し始める。 見守る祖母の友人・マリや燐人ジェフとの交流やジェフの息子への淡い恋心…。旅の終わりに、少女を取り巻く人達の支えで祖母の初恋の人?の墓を見つけ、杏里の旅を心暖かに締めくくる…。
大詰めになって祖母の初恋の人の遺品の中から「被爆後の広島」の写真を見つけ、生前彼の顔には「放射能の影響…?黒い大きな痣があった」と、彼を知る人が証言する。
あれ…と思いながらも「彼は広島で被爆をしたの…?どう言うこと…?」
極めて小さな、どうかすると見逃しかねない設定は“何故”なのか…上映後、宮平貴子監督に聞いてみた。
沖縄生まれ沖縄育ちの彼女は悲惨な戦争にまつわる多くの事実や歴史の中で育ち、今も機会あるごとに広島・長崎、沖縄の悲しい歴史を伝える大切さを持ち続けている。
この映画の中でも祖母の初恋の人を探す過程で一人のカナダ人退役軍人は「日本の捕虜キャンプで多くのカナダ人捕虜が死んだ」事実を突き付け「責めてはいない、知ってほしかった」と語る…場面がある。
初めて長編制作にチャレンジした若い監督が目指す映画の中で『戦争は最大の悪、広島の被害はそのシンボル…』という意識がこの映画を通じて“小さな仕掛け”として織り込まれた…ように思う。こうした姿勢は、若い映画人としての主張であり誇りでもあろう…。
3月に見た完成前の試写では感じなかった”反戦平和のメッセージ“の仕掛け効果が私には強く響いたように思う。山田洋次監督が「母べい」で仕込んだ、広島出身の「父べい」に、故郷に帰って原爆に見舞われた妹が原爆症で逝った想定を超えるシナリオであり強いメッセージだ。爽やかで人の温かみを伝える映画として、親子での鑑賞を勧めたい秀作だ。
< 問い合わせ 広島映画センター 082-293-1119 HP:http://www.h-eigacenter.co.jp/
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