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2009年9月20日 (日)

新幹線と平和

アメリカ・オバマ大統領が、グリーンニューディール政策の一環として、アメリカ国内に高速鉄道=新幹線を建設すると発表した。

ロサンゼルス~サンフランシスコ間の新幹線計画は、もうかなり具体的に動き始めているようだ。
「カリフォルニア州は2010年春までに採用する運行システムを決め、11年にも着工する。
20年までの1期工事で、サンフランシスコとロス南部のアナハイムまでの750キロを開通させ、約3時間で結ぶ予定だ。
さらに、30年までの2期工事で、北は州都サクラメント、南はサンディエゴまで延ばす計画だ。
1期工事の総工費約330億ドル(約2兆9000億円)のうち、99億5000万ドル(約9000億円)を州債発行で賄うことが昨年11月の住民投票で決まった。
政府は1兆円の補助金をだす」
といっている。

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オバマ大統領は、今回の金融危機からの脱却のために巨大公共工事計画と、地球環境問題に対応するCO2削減計画を一緒にやろうというのが、この新幹線計画だ。
上手いテーマを見つけたもんだ。

アメリカは1800年代になると、あの巨大な国土をカバーする鉄道網が整備されていった。
その頃、まさに鉄道会社はアメリカ経済のリーダーだったのだ。
その象徴は、大陸横断鉄道のオーナーであるスタンフォードによって、アメリカを代表するスタンフォード大学が1891年創立されたことだろう。

しかし自動車が大量に生産する技術が確立し、道路が整備されるようになると、アメリカの鉄道会社はになってバタバタと倒産し、1960年代になると消滅していった。
ペンシルバニア鉄道とセントラル鉄道の合併は世紀の大合併といわれ、独占禁止法の触れるほどの大事件だったが、それでも合併後、しばらくして倒産してしまった。

自動車会社を代表するGMを作ったアルフレッド・P・スローンは、1952年MITに経営学を学ぶ大学院を寄付、開設した。
GMの経営方法が企業経営のお手本となったのだ。
そしてそれ以降の学生たちにとっては、そうした経営大学院で学び、MBA取得がビジネスマンとして成功の条件にもなっていった。
そのころがGMにとっても最も華やかな時代だったといえる。

そのころ日本でも国鉄の経営もおかしくなっていき「もう鉄道の時代は終わった。これからは自動車の時代だ」と言われた。

とうとう1987年には、巨大な債務を抱えた国鉄はJR7社に分割され、民営化された。
その時点で、累積赤字は37兆円にも達していた。

そんな状況のなかでは、誰もが、鉄道はもう全く時代遅れの交通システムだと思った。

しかし1973年にオイルショックが起こると状況は一変する。
石油は有限であるということがいわれ、いずれ枯渇する恐れがあるといわれ、ガソリン価格が急激に値上がりし、自動車の排気ガスによる環境問題も言われるようになり、改めて交通機関としての鉄道の役割が再認識されるようになっていった。

いまでは世界で最も進んでいると思われていたアメリカでも、環境に好ましい交通システムとして、今鉄道が見直されるようになってきたのだ。
郊外と都心を結ぶ鉄道が作られ、街中にはLRTが走るようになってきた。
そして今度は新幹線網を整備しようというのだ。

時代の変化とはいえ、まったく驚く。

そんな新幹線計画は、中国、ブラジル、ベトナム、インド等幾つもの国で進められている。

新幹線を作るなら、日本の出番だ。

日本の新幹線は昭和39年オリンピックの年に開業した。
新幹線の開発は、戦争に負け、飛行機を作れなくなった日本の技術者が、それなら飛行機に負けないスピードの鉄道を作ればいいだろうと始めたということが背景にあるようだ。
歴史の皮肉を感じる。

すでに45年の歴史がある。
以来乗客が死亡する事故は1件も起きていない。
新幹線は線路、車体、運行システム等が一体になって時速300KMからの速さを実現した。
ATCが装備され、それこそ運転手がいなくとも安全に運航できるほどのシステムを作り上げている。
JRは極めて安全で正確なシステムをつくりあげてきたのだ。

日本の新幹線網は素晴らしい巨大システムだといえる。

カルフォルニャの新幹線計画に、日本はこの新幹線システムを売り込むべく、住友商事が窓口になって交渉を進めているという。


ODAの事業として、日本は海外に沢山の道路やダムを作ってきた。
それに加えて今度は新幹線システムだという。
道路やダムに比べたら、新幹線は遥かに高度で、高額な事業だ。
こんな巨大なシステムが海外に売れれば、それは素晴らしいことだ

新幹線システムの海外輸出は、これからの日本の輸出産業になるだろうと思う。

と思っていたら、現状はそんなに簡単な話ではなさそうだ。

フランスの高速鉄道TGVが当面最大のライバルのようだが、どうもそれだけではないようだ。
今では中国までもが、その価格の安さで強烈な売り込みを図っているという。
ATCとかATSとかそんな面倒な安全装置はいらない。
ともかく早く、安く走ればいいというのが、開発途上国の要望のようだ。
となると、中国のほうが車両も安くできるということになる。
中国が俄然競争相手になるなんてことが起きているようだ。

日本はそれに対して安全性も加えた新幹線システムとして売り込みを図っているという。

新幹線の安全・安定運行にはかなりの文化レベルが必要とされる。
道路をつくれば、後は輸入した自動車が勝手に走ればいいということで、まだまだ道路建設が最優先事業になっているという状態の国が多いのだともいう。

そうした理由から「実はかなりの国にあって、新幹線の導入は難しい」ということを、海外の経済援助を担当していたことのある人から聞いたことがある。


日本の輸出産業も時代の経過とともに変化していっている。
明治時代は絹織物であった。
戦後は繊維産業になり、造船業に移り、その後はソニー等に代表されるTV等の家電製品になっていった。

今の輸出産業はトヨタに代表される自動車だ。

車の部品数は2万点だというが、輸出する製品は、どんどん部品数が多くなり、より複雑で高度なものになっていったことがわかる。

それがこんどは自動車よりもはるかに複雑で高度な巨大システムとしての新幹線を輸出しようというのだ。

そうしてみると、何もこれからの輸出産業はハードに拘る必要はない。

大前研一氏は、日本の私鉄のビジネスモデルも輸出産業になると言っていた。
「日本の私鉄各社は鉄道を作るだけでなく、沿線に住宅地をつくることで、自ら乗客を創り出してきた。
乗客の利便性を考え、ターミナル駅にデパートをつくり、エキナカ店舗を運営し、はては沿線住宅地を結ぶバス、タクシー会社も経営してきた。
鉄道会社を中心にして、関連企業を加えた、企業グループ全体として収益性を高めている。
そんな鉄道会社は外国にはない。
経営というソフトも輸出できる」
という。

確かにこうした私鉄のビジネスモデルも、長い時間をかけて作り上げてきた日本のノウハウだといえる。

開発途上国では新幹線のシステムは高度すぎて導入できないということも聞いた。
それならノウハウを持っている人材だって売れるだろうと思う。
会社をリタイアしたが、まだ十分元気だという人も、鉄道建設の際、一緒にくっ付けて売ればいい。
技術の世界に英語なんか関係ない。
問題はそうした技術を持っているかどうかだ。

東京でも大阪でも新しい路線ができると、既存の鉄道会社から運転手、駅員、技術職員等が、大量に移籍して、開業にこぎつける。

海外の新路線の建設、開業にあっても、同様のことがいえるだろうと思う。

青年海外協力隊の親父版の創設が必要になってくるかもしれない。

日本は凄いなーとも思うが、こうしたことは同時に世界の平和に大きく貢献することになるだろうと思う。
海外派兵より、新幹線システムの輸出を支援する方が、はるかに世界の平和に貢献するということになれば、これは凄いことではないか。

アフガニスタンやイラクを平和にするために、日本は軍隊を派遣するのでなく、鉄道を作り、新幹線を作り、運行する従業員を派遣しようというのだ。

民主党が政権をとった。
いままでの延長線上にない政策の転換が求められている。

そのくらいの大きな発想の転換が必要だろう。

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