故郷・広島を愛した石本美由起さん
「憧れのハワイ航路」や「悲しい酒」などのヒット曲で知られる、広島市出身の作詞家・石本美由起さんが先日亡くなった。くしくも7月12日に広島市制120周年記念「広島歌のコンサート」で「憧れのハワイ航路」が歌われることになっている。非常に残念だ。
350曲を超える曲の中には、戦後の歌謡史を飾った名曲が多い。特に「憧れ・・・」は海外への憧れと明るさを訴え、戦後の暗い人々の心に大きな喜びや元気を与えてくれた。生家の小高い丘から別府航路の客船を見て、海や異国への夢をかきたて、広島県人がハワイへ多く移民していることを思って作詞された。
故郷の風景や故郷への思いが多くの作詞の原点になっている。故郷を愛し、人との出会いを大切にする面倒見の良い人柄は、多くの仲間や後輩から慕われた。私も広島市が活性化の歌を制作するための審査員を務めた際、委員長をお願いしたところ、快く引き受け、補作までして頂いた。その時の曲が「ひろしま気分」(田川寿美歌)だ。
東京での「作詞家生活50周年祝賀会」に招かれたり、帰広のたびによく声をかけて頂いた。平成元年、美空ひばり亡くなった時も、広島市内のホテルで一緒だったことをよく記憶している。時間があると「故郷広島を愛する会」を開いて、仲間と一緒に飲んで語り合った。その時頂いたメッセージがある。
歳はいくつになろうとも「おい」と呼ぶ声 笑う顔 心の糸をたぐり寄せ 思い出つなぐ酒もある ああ広島春の宵
そして私が定年の時に開いて頂いた会へ
やるだけやった人生に やりたいことがまだ残る 花も実もある男なら 生きるこの世の意地いっぱい 歌謡航路の明日船
地元亀居城跡には歌碑はあるが、記念館がない。偉大な足跡を後世に伝えるためにも、是非私だけではないはずだ。ご冥福を心から祈りたい。
上村和博
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