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2009年5月28日 (木)

映画に見る“時代の小道具”

  シネマクラブ・ひろしまが毎月行う「ワンコイン上映会」で山田洋次監督の「息子」を見た。‘91年(平成3年)の作品で日本アカデミー賞やキネ旬賞など受賞した作品だ。

 東京の居酒屋でアルバイトをしている青年は母の一周忌で帰った故郷岩手で、不安定な暮らしを父に戒められる。父の想いを胸にした青年は帰京後、3Kと言われる下町の鉄工所で働き、取引先で働く美しい娘に好意を持つようになる。しかし、彼女が聴覚障害を持った聾唖者であることを知るが、青年の想いは一層募り、彼女への愛は一層大きくなる。
 二人の日常を結び意思の確認は当時事業所や家庭にも導入され始めたFAXだった。

 大学を出て一流企業に就職し2人の娘を持ちマンションも手にした長男に比べ、高卒後東京でフリーター暮らしの二男は妻に先立たれた父親にとっては気が休まらない心配ごとで、事あるたびにたしなめる。二人の間の溝は大きくなるばかりだ。一方、子供達にとって父の老後は大きな心配の種で、誰がどこで面倒を見るか…。
 
 熱海で開かれた戦友会のついでに立ち寄った東京で、長男から勧められた同居を断って、二男のアパートによる。そこで彼の恋人と出会う。父の来訪を知らせ夕食の差し入れを伝えるのはFAXだ。「ご飯まだでしょう…バラ寿司を持って行きます…」のFAXは劇中で声のない彼女の声以上の気持や機微を伝える時代を反映した最高の小道具だ。

 聾唖者を理由に反対されると思いこんだ二男は「誰が何と言っても一緒になる」と宣言する。父は「本当にこの子の嫁になってくれるのか、有難う」と手をついて喜ぶ。
 言葉はないがすっかり意思の疎通を確信できた父は生活振りに不安を抱いていた息子との信頼関係を取り戻し、雪深い岩手の寒村に引き上げる。
 手には秋葉原で買った息子の嫁になってくれる彼女との気持ちを繋ぐFAXを持って…。
 一番心配だった二男の結婚が一人暮らしの父親に生きる喜びを与える。
 すさまじい勢いで変わる現実の中で変わらない親子の情愛を再発見する父と子“幸せとは何か”を問いかける「家族」「故郷」「幸福の黄色いハンカチ」に並ぶ山田洋次の名作だ。

 この映画を見た黒沢明監督がこんな言葉を贈っている。「いい映画は見終わった時、何とも言えない心持よさが残る。いい映画が忘れられないのはそれがあるからだ。<息子>はそういう映画の一つだ」。映画は時代を映す鏡と言われる。父と息子とは何か?時代を超えたテーマの問いかけの小道具がFAXというのも時代の鏡として面白い。
 往年の名画が毎月楽しめる“シネマクラブ・ひろしま”へ加入ください。
問い合わせ:082-293-1274<広島映画センター内>

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