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2009年5月 6日 (水)

新型インフルエンザへの対応に疑問

新型インフルエンザがフェーズ5(パンデミック=世界的大流行の手前)になり、報道も過熱しています。政府は国民に「冷静さ」を求めていますが、最も冷静さを失っているのは日本国政府ではないでしょうか。

横浜市の中田市長は、先日の舛添厚労大臣の深夜の会見に対して「(大臣は)国民に落ち着くように呼び掛けているのだから、大臣自身が落ち着いた方がいい」と発言しましたが、まさに同感です。

政府あるいは厚労省の役人は、新型インフルエンザを強毒性の鳥インフルエンザからの変異しか想定していなかったために、弱毒性と分かっても、強毒性を想定したマニュアル通りにしか動けず、明らかに振り回され過ぎているように思います。

もちろん、日本という世界で最も高齢化の進んだ、人口密度の高い国では、新型ウィルスは他の国以上に脅威かも知れません。更に、海に囲まれているという好条件を考え併せると、水際作戦の重要性は十分理解できます。

しかし、現状解明されている情報を冷静に分析する限り、国内に対する政府の対応は、明らかに過剰な反応に思えます。マスコミも厚労省や政府に振り回されているようにすら思えます。

感染を防ぐことは重要ですが、同時にパニックが起きないようにすることもまた大切なことです。最も重要なことは確実に分かっていることと、まだ分からないことをきちんと分けて、冷静に対応することです。

パニックになると、マスクにしても治療薬にしてもワクチンにしても、適正な配分ができなくなってしまいます。また社会に対する負担もそうです。防衛とはいえ、守るべき社会を弱体化させてしまっては意味がありません。

日本に比べ、メキシコに隣接しているアメリカの方が遙かに冷静です。オバマ大統領は「一日単位で、いや一時間単位での情報提供を行う」「可能なあらゆることをする」と述べているものの国境封鎖などは行わず、有名キャスターや医師がメキシコシティーに常駐し、連日のように事実を正確に冷静に報道しています。

その結果、当初の150人の死者のうち、半数は慢性疾患や栄養失調などだということも分かり、結果、今回発生している新型ウィルスは弱毒性であることは間違いないものとして認識されています。

日本の報道ではアメリカでもマスク(=サージカルマスク)を付けた人しか映していませんが、ネットなどでライブ映像を見ると、そんな人は殆どいません。

もちろんウィルスは今後も変異する可能性もありますし、可能な限り感染を防ぐことは重要なことです。それでも今の段階で強毒性の新型ウィルスを想定して書かれたマニュアル通りに動いている政府の動きは明らかに異常です。

日本政府は水際はしっかり守るにしても、国内に対しては過敏にならずに、むしろ海外への支援、メキシコやこれからインフルエンザの本格的な時期になる南半球への医療や感染対策の援助をもっと積極的に行うべきでしょう。

今回の新型ウィルスの感染は、まだ第一波に過ぎません。スペイン風邪(同じ豚インフルエンザ)の場合、4〜5月(まさに同時期)に猛威をふるった後、一旦終息し、秋以降に第二波が現れ、4千万人から1億人の命を奪ったわけです。第一波の被害が少なかったところほど、第二波による被害も大きかったともいわれています。

オオカミ少年の話ではありませんが、今回の新型ウィルスで騒いだ挙げ句に大したことがなかったという経験から、第二波が発生し、毒性が強い新型ウィルスに変異した時に警戒心がゆるんでしまったり、今回あまりに犠牲を強いて何もなければ、肝心な時に強制的な対応に躊躇するようなことがあると、本当に危険なパンデミックが起きた時、今回の冷静さを欠いた対応が大きなマイナスになりかねないような気がします。

   2009年5月2日

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

昨日になると、ニュースによっては海外旅行から帰ってきた人達が「海外では感染者のいる都市でもマスクなんて付けていない」と言っていましたね。
これも誤解を生みやすいのですが、日本人はマスクに頼りすぎるきらいがあります。マスクは通常の風邪や感染症ではあまり役に立ちませんし、何より重要なのは手洗いです。それも、かなりしっかりした手洗いですが、日本では飲食業に従事する人達でさえ、かなりいい加減です。

政府の対応も国民の行動も、チグハグだという印象は私も持っています。

ちょうどニュースでは発熱した人が、新型インフルエンザの可能性がないのに病院から拒否されるという病院側の過剰反応が問題になっています。

この時期でも日本には十万人以上の季節性インフルエンザの感染者がいるそうでうす。その人達に対して、いちいち隔離して検査していたら混乱するだけでしょう。

逆に十数万人の感染者がいても、ひっかかるのは数名ということは、本当に怖い強毒性の鳥インフルエンザや、毒性が強く変異した豚インフルエンザなどが流行ったら、防ぎきれないような気もしました。

アメリカ(ニューヨーク)に2年住んでいましたが、日本のようにマスクを普通にする人はいませんよね。それこそ強盗か何かと間違われてしまいます。そもそもマスクというと仮面のことで、書かれているようにサージカルマスク=手術用マスクというくらい特殊なものですし、コンビニとかで売っているマスクはガーゼでインフルエンザには効果もなく、サージカルマスクなんて付けて町を歩いていると強盗じゃなくても感染者だと思われることは間違いないでしょう。

花粉症が一般化している日本は特別なのかも知れません。しかしインフルエンザに対してN95マスクなどは有効なので、ここはマスクを世界に拡げる日本のチャンスかも知れません。

成田空港で働いているというだけで、病院から拒否されたという記事を見ました。明らかに過剰反応ですね。専門家でこれですから。風評被害と言えばいいのでしょうか。

我が家にも幼児がいますけど、よく熱を出します。かかりつけの病院はありますけど、まずは保健所に連絡してから行った方がいいのでしょうか。今、季節性のインフルエンザでもなったら大変ですよね。教育的には手洗い、うがいの習慣がしっかりついていいのかも知れませんけど。。。

補足しますが、N95などの医療法マスク(まさにサージカルマスク)はインフルエンザには、ある程度有効です。ただ、これらのマスクは付けているだけで息苦しいほどのものです。花粉症用のマスクとは違います。

更に言えば、そこまでするのなら防護服も必要です。

それより、きちんとした手洗い(消毒石鹸を使って指の先から肘の辺りの隅々まで、ハッピーバースデイを2回歌う長さ)と、うがい薬で声を出してのうがい、の方がずっと重要です。普通のマスクを付けていても、手洗いがいい加減だと全くナンセンスです。

それから人に近づかない、これが一番です。ちなみに豚は安全です。

旅行中に、偶々ニューヨークでこのブログを見ました。ニューヨークでマスクをしている人は、二日間で日本人数人だけでした。しかも空港で---。手洗いは、息子が手洗い用のジェルをくれましたので、それを使っています。アメリカのトイレには、ペーパータオルのあるのが普通ですが、念のため、このジェルを使っています。

中国では単にメキシコから来たというだけで隔離したり強制的に国外に出したり、尋常とは思えませんね。

今朝の中国新聞によると、歯磨きも感染予防に効果があるそうです。ウィルスの増殖を抑えるとか。

私自身は水際対策にも疑問を持っています。テレビ報道では、サーモグラフィを使っているのを見ますが、あの1台300万円の機械の有症者発見率は0.02%しかありません。1000人中998人の感染者はすり抜けるという代物です。WHOもフェーズ4になった段階で水際強化は無意味としています。

明らかに日本政府の対応は間違っていると感じます。

政府=厚労省が水際ばかりに熱心なのは水際こそが検疫法で直接指揮を執れる=責任のあることだからです。一例でも国内感染者が出れば、そこから先は医療機関が中心の体制に変わります。

だから本来は長期戦に備えた国内体制の整備が必要なのに、人も金も物も全て効果の薄い水際に投資してしまっています。

日本の医療が高度なんて思ったら大間違いです。こと感染症に関しては、超後進国なのです。欧米では日本を「麻疹の輸出国」と揶揄され、エイズに関しても先進国の中では唯一患者数を増やし続けている国です。

スペイン風邪でも3年間の長期戦でした。日本は長期戦に対する備えのない唯一の先進国です。

書かれている通りで、発熱外来なんて形ばかりのものです。

現在の新型インフルエンザでは普通の人は従来の治療で殆ど治ります。医師にかかる必要すらない人も多いでしょう。本当に危ないのは病院に入院している患者さんです。そこに感染した人が押し寄せてきたら入院患者は命の危険にさらされます。そういう対策がまだ全然出来ていないのに、人手がみな水際作戦に取られて、体制整備が出来ていません。

発熱した患者を断ったtことが批判されていますが、受入体制のないところへ来られると本当に危険なのは入院患者なのです。その辺りをちゃんと報道して欲しいと思います。

4月30日のニューヨークタイムズではWHOの福田氏の「検疫強化は妥当ではない」というコメントを紹介しています。福田氏は米国バーモント大学を卒業し、主に米国で公衆衛生・感染症の専門家としてキャリアを積んだプロ中のプロです。

5月1日の朝日新聞にも以下のような記事がありました。
「5人の感染者が出ている英国のBBCテレビは29日のニュースで、メキシコから到着便に対してマスクと防護服を着用した係官が機内検疫をする成田空港と、特段の検査を受けないまま到着ロビーに出来てた乗客が出迎え家族と抱き合うロンドン・ヒースロー空港の映像を対比させた。ニュースは「WHOによると」として空港でのチェックは効果が薄いと説明した。英国は島国だが「水際」には力を入れていない。注意喚起のパンフレットを配る程度。英健康保護局の広報官は「新型肺炎(SARS)流行時、そうした対策はあまり効果がなかった」

どうも日本と中国だけが際だって大袈裟のようですが、これは国内の感染症対策の弱さを露呈したものなのでしょうか。

仮定の話ですが、実質的には危険のないことを「大変だ、大変だ」と大騒ぎをして大げさな対策を取り、その結果ほとんどにも起らなかった、だから「今の政府は信頼できる」という作戦だという意見を最近聞きました。選挙対策だとしたら許せない話だと思うのですが。

空港での検査も「自己申告」に基いて検査をするらしく、熱があっても紙に「何もない」と書けば通ってしまうような杜撰な検査らしいですし。

国家の危機は求心力を生みます。政府が国民から支持を得る最後の手段は戦争です。

(未曾有の)経済危機、北朝鮮の(ミサイル)発射、新型インフルエンザの発生などは、不可解な小沢秘書逮捕に加えて、明らかに麻生内閣の支持率を押し上げています。

どうも日本人は長期戦が苦手なように思います。過去の戦争でも短期戦では華々しい勝利をあげていますが、長期戦になるとダメです。日本人そのものも、とっつきは良いが長続きしない傾向があるようにも思います。

報道にもそれがはっきりと現れており、一旦話題になると、そればかりが流され、すぐに忘れされられてはいないでしょうか。こういう報道は国民を疲れさせ、重要なことから興味を失わせます。

新型ウィルスとの戦いは始まったばかりです。日本はこの長期戦をうまく戦えるのでしょうか。

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