映画と巨大ビジネスとフェアートレード
「シネマ・クラブひろしま」の2月定例上映会でドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」を見た後、広島フィールドミュージアムの金井塚 務(58)代表の『巨大農業ビジネッスとフェアートレード』の講演を聞いた。
昨年4月にシネ・クラブを立ち上げ5回のワンコイン上映会と4回の定例上映会に取り組んだ。今回の映画「おいしい…」については試写会後の1月5日のこの欄に書いた。
世界のコーヒーの大部分をたった4つの多国籍企業で年間800億ドル以上の利益を独占し、原産地で生産者が手にできるのは先進国で楽しむコーヒー代金の1~3%だけ。
今や投機の対象にもなって、生産農家が悲惨な貧しさから解放される目途はない。
これをフェアーな取引で生産農家を救おうと奔走する男の活動を通して「コーヒーが貴方の口に入るまでの真相」を世界的な視点で追ったドキュメンタリーだ。
金井塚さんはシネ・クラブの役員も引き受けているが元々は日本モンキーセンターの研究者で動物生態学が専門で著書も多く、ラジオやテレビの解説のほか大学や小中高校での指導をはじめ幅広い自然保護活動に取り組んでいる。廿日市市の細見谷渓畔林に計画されている林道建設は“生物の多様性を誇る広島の宝を壊してはいけない”と県を相手に住民訴訟を進め、成果を残しつつある。
この日のテーマはコーヒーを含む世界の巨大な農業ビジネスの裏?
金井塚さんは先ず自分の専門分野の“生態学から見た自然保護”を「一部の人間が人類共有の資源を搾取する…これを解放する事」と位置付け、豊かな暮らしのつけとしてエネルギーの消費が農漁業生産をも通じて地球温暖化を招いた…。
WTOが自由貿易を目指しても少数の巨大な多国籍企業が国を越えてコーヒーも穀物も支配する。支配のカギは農民が育んだ“種子の遺伝子特許”を資本力で独占して、農民も種子を購入しないと生産が出来ない構造が創られつつある現実を見逃せないと指摘する。
インドの学者バンダナ・シンの「食糧テロリズム」が紹介された。米国資本が穀物の大量生産をして産地国に輸出して値崩れを作り、世界的な収奪・奴隷化が進んでいる。農産物生産から加工や農機具・肥料生産までのアグリビジネス化が零細農家を押しつぶす現象はコーヒーをはじめ様々な農業分野で世界化していると指摘。
農業生産を守るため闘うNGOがWTOに対抗しているが世界のマスコミはあまり目を向けず、知られていない…。
豊かな暮らしを守るため、どうすれば一次産業が成り立つか…?
例えば豊かな海を守るには干潟や浅瀬の藻場を埋め立てず山や森の生産物が川を通じて流れ込む循環を断ち切らない…ことが大切だ。
同じように映画を通じてコーヒーの裏の真実を知ることが日々の暮らしの中にある多くのアンフェアーを考えるきっかけになることが見えてくる。
大上段に構えなくても身近に楽しくできることから“自然保護”を追求することがフェアートレードを生むことに繋がる…。
80分の映画を見たあとの講演は途中退場する人もなく、見たばかりの映画を教科書に金井塚さんの話術と身近な事例も引き合いに聞き入った。
映画が生きた教材?になった実感は今後の映画上映に大いに活かしたい。
<問い合わせ・ブログ・メール>
: http://blog.goo.ne.jp/yamanoasioto/e/8dc232442fld7ce9bbt74c5c6a13d8cf
http://www8.ocn.ne.jp/~miyajima/kanaizuka.htm
http://hosomidani.no-blog.jp
広島フィールドミュージアム 金井塚 携帯:090-4695-7886
E –mail: primates@proof.ocn.ne.jp
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