ブルガリア黄金文明展
県立美術館で開催中の「よみがえる 黄金文化展 ~ブルガリアに眠る古代トラキアの秘宝~」<2月21日~3月31日(火)>を見た。
ブルガリアのバラの谷で'04年に発見されたエジプトのツタンカーメンと並ぶ21世紀の大発見と言われる『トラキア王の黄金のマスク』は異彩を放っていた。
ウイークデーの午前中で外は雨と言うのに会場は数百人の鑑賞者があって、結構にぎわっていたのには驚いた。
東欧と言えば嘗てはロシアの社会主義衛星国で、中でもブルガリアは優等国だった。
ブルガリアと言えばヨーグルト、最近では大相撲の琴欧州の祖国として知られるくらい。
だが日本との関係は意外に古く、二次大戦中の1939年から双方に在外公館を置いて友好的な交流があった。’44年の共産政権樹立で一時中断したが、’59年には回復し、今年は国交回復50周年にあたり、記念イベントとして日本初公開の秘宝がやってきた。
展示品はBC5~3世紀の今のブルガリアを中心に活躍したトラキア人の古代ギリシャやペルシャの影響を受けた豊かで独特の文化遺産で、ブルガリア国立博物館の秘宝170点。
2004年に世界遺産の“バラの谷”で発掘された『トラキア王の黄金のマスク』(BC5世紀後半)は金672gもある重厚なマスクで世界にも類のない王の副葬品。
’05年に発掘された『黄金の花冠』(BC4世紀中頃)とセットの展示室は世界の香水原料の80%を賄うブルガリア・バラの香りに包まれて往時をしのばせる工夫が施されて、鑑賞者の足をくぎ付けにしている。
<トラキア王の黄金のマスク=会場展示TV映像>
トラキアはヨーロッパとアジアが交わる“文明の十字路”といわれる古代文明遺産の宝庫だが発掘はまだ一割程度だ。日本の東海大学の故松前元総長の肝いりで30年前から「トラキアの起源を探る」調査研究が継続されており、今後の大発見に期待が寄せられているようだ。
私は古代史音痴ではあるが、武器・武具や装飾品に彫像や陶器など生活用品も高度で緻密な技術がブルガリアの地でトラキア古代文明として花開き、エジプトやギリシャに引けを取らない世界最古の文明を育んだことを十分に伝える見ごたえのある展示会だ。
会期は3月31日(日)まで、広島県立美術館。是非、ご覧になるようお勧めしたい。
期間中、講演や解説、ギャラリートーク等の企画も用意されている。
http://www1.hpam-unet.ocn.ne.jp/
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