平和大橋の増設歩道橋のデザインコンペ
3月5日の新聞各紙に、平和大橋の増設歩道橋のデザインコンペの結果が載っていた。
当選したのは、大日本コンサルタント中国支店(広島市)の作品「時空の扉(ゲート)」である。
審査委員長の内藤廣氏は「イサム・ノグチの橋への敬意を払った控えめなデザインと機能性が委
員の高い評価を受けた。市民の理解も得やすいと思う」とコメントしている。
確かにしっかりしたいいデザインの橋だ。
今回この歩道橋のデザインを進めるにあたっては、広島のシンボル、平和のシンボルとして、あまりに有名になってしまった平和大橋に隣接して、どんな橋をつくればいいのか、関係者は大変困ったことだろうと思う。
それに対する答えが、デザインの国際コンペだった。
内藤氏は「広島市の大英断だと思います。日本の土木分野の知的財産権や著作権の考え方が、国際的なルールとずれがあることです。今回は著作権の専門家に相談して、国際的なルールに合わせる形で募集要綱に記載しています。土木界はコンペに慣れていません。落とされ慣れていない面もあります。落ちた人たちが不満に思って、「あんなことは無意味だ」と言い始めたら、こういう試みは行政から出てこなくなります。今回のコンペは、行政の意欲的なチャレンジです。そのチャレンジを盛り上げるような案を期待します。「今回は負けたけど、次は勝てるように努力する」という声が聞こえてくるようなら、コンペが成功したと言えるでしょう。土木産業全体を育てていくような心構えで、コンペに臨んでほしいと思います。」といっていた。
そもそも、土木の世界では土木の施設をデザインの対象とすること自体珍しいことのようだ。
ましてやそれをコンペにする事は、今までの常識では考えられないことだったのようだ。
そうした厳しい状況にも関わらず、海外からの応募も含めて、29社からの応募があった。
応募作品は、しばらくの間市役所1階ロビーで展示されていた。
「あやとり」をモチーフにして、「折り鶴」をデザインした作品もあった。
作品の洗練度は今一つだったが、広島らしい案だと、私はそれなりに評価していた。
しかし結果は、奇をてらわず、気まじめなデザインした作品が選ばれた。
いい作品が選ばれたと思う。
橋の両端に丘をつくるということも、平和大通りのアクセントになるだろうと思う。
結果をみれば、国際コンペにしたことは、大成功だったといえる。
広島市内の橋もいずれ架け替えが順次必要になる。
新設の計画橋もある。
これを機会に、橋のデザインへの関心が高まり、「水の都・広島市」に相応しい橋が次々とできることを期待したい。
« 定額給付金と寄付 | トップページ | 平和記念資料館と寄付 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 新しい文化と公園の変化(2023.09.04)
- ゴッホの絵を「体感」する❗️(2023.07.12)
- お寺の境内のカフェ(2023.06.22)
- 熊谷守一美術館(2023.06.20)
- 京橋のギャラリーでのグループ展(2023.05.31)
コメント