フランス製の車と文化
数年前、友人からフランス製の中古車を譲ってもらった。
なんとも変な車だ。
元々左ハンドルの車だから、ウインカーはハンドルの左に付いているし、ワイパーは右に付いている。
ときどき間違えて、雨も降っていないのにワイパーを動かしたりしてしまう。
まあそれはいいのだが、ラジオはちゃんと動かないし、スピードメーターも壊れた。
ともかく電気系統は全然だめだ。
ブレーキを踏むとキーキーいうから、ブレーキパッドも替えた。
フランス製の車は、そもそもブレーキパッドが元々薄いのだという。
ハンドルのパッキンも取り替えた。
ある友人に「ラテン系の車に乗る時は、帰りのタクシー代をいつも持っていた方がいいですよ」と忠告された。
エーッ、なにそれ!
ラテン系の車はそのくらい簡単に故障するらしい。
ジャガーもよく故障するらしい。
ジャガーに乗っていた知人は、メーカーの整備士から、「ジャガーは、購入されたお客様に合わせて、これから作っていくのです」といわれたという。
凄い言い訳だ。
そんな言い方もあるのかと、妙なところで感心したことがある。
以前トヨタの車に乗っていたが、10年以上経っても、どこも故障しなかった。
日本の車が売れる理由がわかる気がする。
しかし、日本では修理工場は商売としてやっていけない、どんどん減っているという。
それもまた可笑しい話だ。
女房は「そんな変な車捨ててしまえ」という。
捨てたくもなるが、しかしなんとも面白い車なのだ。
車の座席は素晴らしくいい。
譲ってくれた友人は、腰が悪くて、この車を選んだといっていたが、それはよくわかる。
長時間座っていても、全く快適なのだ。
以前、最初の新幹線の座席をデザインした人間工学の権威小原二郎氏が、「どうしてか、ヨーロッパの椅子の性能を上手く真似できない」といっていたことを思い出す。
いくら形を真似しても、その座り心地の良さは真似できないのだという。
座りご心地はトヨタの車よりはるかにいい。
また日本の車なら、夜暗くなってヘッドライトをつければ、自動的にメーターのライトは点くのは当たり前だが、メーターのライトも、別途スイッチを押さなければ点かない。
そんな変なことってあるのかと呆れた。
日本の車は、こっちがいちいち指示しなくともやってくれる。
いわば、いたれりつくせりでやってくれる。
この車はいわなければ、やってくれない。
文化の違いを改めて感じた。
しかし、そうした経験がなんとも面白いのだ。
ラジオがちゃんと動かないことまで面白くなってきた。
そんなことに、近頃は妙な愛着まででてきた。
こんなところで、ヨーロッパと日本との文化の違いを感じるとは思わなかった。
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