転ばぬ先のステッキ(杖)
半年近く迷っていたステッキを購入した。散歩の途中で足腰の痛みでつまずいて転びそうになるなど足元がおぼつかなくなった為の対策である。
足腰の痛みが強くなった3年前頃から家内の買い物に付き合ってスーパーや百貨店の売り場で店に備え付けの買い物カートを押すと痛みがカバーされ、自転車を押している時も軽減される…事に気が付いていた。
医師には無理せずステッキを使うよう勧められていた
何となく“老人を地で行く”様な気がして避けてきた。しかし、昨年秋二度目の抗がん剤を止めて散歩を再開した頃から自転車置き場まで帰ってくるのがキツイと感じることが間々ある。着実に歩行能力は低下し、たまにつまずいて足元が揺らぎよろけることもある。そんな時は椅子やベンチに腰を下ろして休むと楽になるがベンチがない所では腰を落としてしゃがみ込み、四股を踏む形などで回復を図る。 しかし街中だったらそれが出来ず不安がある為、つい歩いて出かけることが自然に減ってきた。
近く、一人で上京する機会が出来たのを機に“転ばぬ先の杖”を用意した次第だ。
百貨店には介護用品とは別の紳士用品売り場にステッキ・コーナーがある。
杖はもちろん体を支える用具で最近は介護用品としても様々な品ぞろえがある。
素材がステッキ材の王様と呼ばれている南米産のスネークウッド製で50万円を超える超高級品から、紫檀や黒壇で10数万から数万円。竹の根の部分の寒竹にケヤキ、折りたたみが出来るアルミ製も花や動物をあしらったプリント模様が多彩で人気が高いようだ。
英国やフランスにドイツなどヨーロッパ製の人気が高く動物をあしらったアニマルヘッド・ステッキは伝統的な美術工芸品としても知られ今も底堅い人気があるようだ。
杖と言えば年寄り臭く聞こえるが古来いろいろな用途が仕込まれたれた歴史がある。忍びの者に映画の座頭市は仕込み杖でよく知られる。
ステッキと言えば英国紳士の代名詞だ。英国では帽子に手袋、ステッキは紳士の三点セットだが帽子は盾、ステッキは護身用の武器でいざと言う時には使われた…歴史もある。
中には傘や小型のウイスキー瓶を仕込み散歩の途中で一杯の楽しみを忍ばせた英国の名門社のステッキは今もそれなりに人気があり、東京や横浜、京都には歴史的専門店がある。
長さは身長の2分の1プラス3㎝が一般的のようで、歩き方は悪い方の足とステッキを同時に前に出し 体重を分散させ、悪くない方を更に前に出す…。
簡単そうでそれなりに扱い方を慣れる必要がある。
歩行の補助具は「転ばぬ先のステッキ(杖)」だが、素敵でお洒落感覚に使いこなせるようになればまた別の品が欲しくなる。それを目指して目下ステッキで上手な歩行訓練中だ。
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杖は、老いたる者に許された、特段な権利(の品)。しっかり縋って、遠慮なく寄っかかっていっていこうではないか。私も、同じ病名の下を二回、潜り抜けてきた。
杖は、頼れる。杖と向き合い、語り合ってくれ。時たま、ひょいと、杖を私に置き換えてみたくなったら、遠慮なく、声をかけてくれ。埒もない、昔話でもやりに伺うつもりだ。
ハガキをありがとう。この場を借りて、お礼を言うよ。
投稿: 榎並 掬水 | 2009年3月 3日 (火) 13時38分
ハガキを貰って、初めて知りました。
私も同じ種類の病いで、二回も、その下をくぐりました。杖に、三年も世話になりました。人からの勧めでヤクルトを飲み、むらさき芋を食べ、カリフラワーを食い続けました。良いというものは、ぜんぶ、やってみました。
要は、前向きな気持ちではないかと思われます。あせらず、たゆまず、戦いましょう。ゆっくりは、老いたる者の特権です。
杖に退屈になったら、ひと声かけてください。昔話でもやりに、
そちらに出向きます。
投稿: きくみ | 2009年3月 3日 (火) 19時39分
榎並様 返信ありがとう。老人のうっぷん晴らしにならないよう
に…と思いつつも、そうなっているのは否めません。
「シネマクラブ」や「小さな祈りの影絵展」などを手伝い
ながらの散歩とぶろぐです。貴方のメールアドレスを
入力ください。一度ゆっくり会いましょう。不一<典>
投稿: グランパ | 2009年3月 3日 (火) 22時17分