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2009年2月 6日 (金)

土山秀夫さんの「日本核武装の幻想」

 日本ジャーナリスト会議広島支部が若い現職のジャーナリストの育成に…との思いで始めた6回目のヒロシマ講座に長崎大の元学長の土山秀夫さんの講演会を開いた。
 土山さんは入市被爆者で被爆直後から多くの被爆者の治療と救護にあたった医師で、専門は病理学。
 退職後は独自の視点から核兵器を中心にした安全保障や国際関係、憲法問題について取り組む一方長崎の市民レベルの平和運動に身を投じて核兵器廃絶ナガサキ市民会議代表、核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ実行委員会代表、9条の会共同代表など務め被爆地の立場から発言を続けている。また「世界平和アピール七人委員会」の委員として、83歳の今も日本の平和運動の牽引役を努めておられる。
 その活動のスタイルは「ナガサキ方式」として注目を集めており、この日の講演は主催者のたっての希望で「日本核武装の幻想」に「ナガサキの平和運動」が追加された。

 先ず、日本の核武装については米ソが核不拡散条約NPTを設置し5ケ国以外に核保有させないとしたのは日本とドイツに対する警戒心から急がれた。ドイツは脱原子力・核武装がはっきりしていたが日本は過剰なプルトニュウムを持ち国会議員や閣僚の核武装支持発言で疑惑を与えている。
 しかし、日本政府は過去2回内閣調査室と防衛庁が「核武装は技術的には可能だが、日本の安全保障上何の利益にならない」と報告書をまとめているが、多くの政治家・国会議員、最近では自衛隊の田母神航空幕僚長の論文や発言など“日本の核武装”発言が繰り返されてきた。その源になっているのは細川内閣時代の’93年内閣法制局が「自衛のための必要最小限度の実力を保持する事は憲法で禁止されていない。従って核兵器であっても…憲法の禁止するところではない」にあり、その都度その背景にはそれぞれ右翼系学者がいることはあまり知られていない。背後にいる学者を炙りだして、そそのかしの責任が大きく厳しく追及していかねばならない。
 日本が米国の核の傘から脱却するには「日本が絶対に核武装しないことを保証してみせない限り不可能」という米国の思惑を無視した日本核武装論は幻想でしかない…。
 強い意志が注がれた説得力の強い内容だった。

 平和運動については自ら被爆体験として、あの時ほど医学の無力を感じた事はなく、長年感性でどれ程被爆実態を受け止められるかを考え、国際政治上の論理に訴えることの大切さを知った。退職後に国際政治を学び安全保障問題を被爆者の視点から研究された。
 平和活動は政党、労組、宗教など団体主導で一般市民が入りにくく市民を巻き込むことが課題だった。
 長崎では2000年のNGOの核兵器廃絶長崎集会を機に長崎市は経費と人の協力をするが企画立案や運営には口出ししないことを前提に実行委員会で共催し“行政ペースの排除”が実現し、長崎県も追随して定着した。

 この2回目の集会(2003年)に“日の丸、君が代”の推進者である諏訪神社の宮司が参加を希望。多くの人が混乱を懸念し反対したが「あの人が申し入れするには何か理由がある?」と思い面談した。宮司は思想信条を持ち込まない、団体へ持ち帰って相談しない、「核兵器廃絶」の一点で協力…を同意され、他の宗教団体も次々に参加のきっかけになり、3年ごとの開催が継続中だ。
 また、日豪政府主導で始まった「核不拡散核軍縮に関する国際委員会」に民間の声を届ける『日本NGO市民連絡会』(2月25日発足)への参加に繋がった。2010年のNPT再検討会議に大きく結集していきたい。
 これが「長崎市民が右左なく参加した反核運動」と評価を受けている“ナガサキ方式”として各地の運動に影響している…と実践で得た貴重な成果が紹介された。

 この他、米国のオバマ大統領に過度の期待はできないが秋に新たに示される核戦略が2010年に向けてどんな施策が盛り込まれるか?注目に値する。
 被爆者にとっては憲法9条を掲げて行くことが核廃絶に繋がる密接なかかわりがある。
 本来なら免れた原爆は敗戦時の指導者の誤った判断がもたらした等々、興味ある多くの事例が示された示唆に富んだ講演だった。

 会場は40人程度の席がほぼ埋まり若い人、現役の記者たち数人?が聴講していたのは喜ばしく、記者感覚を刺激する内容が豊富でヒロシマの平和活動報道にとってヒントを得たに違いない…と受け止めた。今後の講座により多くの現役記者の参加を期待したい。

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