映画「青葉学園物語」
『シネマ・クラブひろしま』のワンコイン上映会で「青葉学園物語」を上映した。会員を対象のミニ上映会で、上映後500円でドリンク付きの交流会を重ねている。8月に上映した新藤兼人監督の「原爆の子」に続く2作品目で、広島映画センターの企画製作作品だ。
製作は1981年(昭和56年)だが舞台は原爆投下直後の広島の養護施設「広島戦災孤児育成所」(五日市吉見園:のちの童心園)で原作者の吉本直志郎氏が11歳から18歳まで過ごした体験を基に書いた児童文学書がベストセラーになったのを契機に映画化された。
同じ被爆者で那須正幹氏の超ベストセラー「ずっこけ三人組」と同じ色合いの広島児童文学作品だ。カラーの100分、色はあせないでフイルムの保存状態は大変良い。
監督は憲法の誕生を追った映画「日本の青空」の大澤豊の2作目の作品で、音楽を森田公一が担当し出演は市毛良枝をはじめ鈴木瑞穂や小山内美那子、阿藤快、太宰久雄、笑福亭仁鶴、加藤嘉ら新劇のメンバーを中心に固め子役は地元のオーディション選抜している。
お話は戦争で身寄りを失った60人の子供たちが暮らす「青葉学園」のガキ大将を中心にした5人グループが懸命に活きた生活記録だ。空腹を満たすため毎日川で魚取りに懸命だ。
みんなで飼育する豚を売って欲しいものを買う…。自分たちの思いが通じないグループは「会社」を作って鉄屑ひらいで稼いで念願の野球道具の購入を目指す…。
病気の父と自分を置いて家出した母が迎えに来ても恨みに思って会おうとしない少年に白血病で療養中の母の話をする少女…。
町に出かけて入ったバラックのうどん屋で息子や孫たちを原爆で奪われた老夫婦に会う。
「世の中で何が悲しいかと言えば、親より早く死ぬる息子を送ること…」と嘆く老人に同情した彼らはせっかく貯めた金を残らず置いてくる。「よかった良かった…」と喜ぶ…。
敗戦後の貧しい境遇にもめげず優しさや思いやりを持った人間として一番大切なことを体得して行く子供たちが描かれているが、今の子供たちに見せてどこまで通用するか…。
この映画を通して、戦争で何もかも失った子供たちが家庭とは何なのか、親子とか兄弟とは…。学校とは、先生とは何なんか。友達や社会とは…。生活とは…。お金とは…。
人間にとって大切なものは何か?を考えさせるには、いい映画だ。
映画を見た子供たちが今の自分の暮らしと比較して、自分なりの願いや希望を育てるきっかけになる、今も共通する問題を提起している親子や学校でみるには良い映画だ。
上映の問い合わせ先:広島映画センター(広島市中区堺町1-2-9 貴志ビル) 082-293-1119
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