劇団四季への期待
劇団四季のミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」を見た。
子どもたちのいじめに真正面から取り組んだオリジナル・ミュージカルだ。
父を亡くして勇太(ユタ)は東京から母の実家がある東北地方の農村に転校してきた。
村の子供たちと馴染めず、皆からは勇太でなく“ユタ”と呼ばれて苛められてばかりいた。
そんな一人ぼっちのユタに「座敷わらし」5人の仲間が出来る。彼らは飢餓で死んだり、生まれてすぐに間引きされた悲しい運命を背負っている。
生きる気力を失いかけたユタを5人の仲間は「せっかくもらった命は自分で磨かなければ石ころと同じだ。本当に生きることにならない!」と励ます。
ユタは逞しく優しい彼らに励まされ鍛えられて、やがて心身ともに強くなって、級友に受け入れられるまでに成長する…と言う感動的なストーリーだ。
幽霊やお化けと言う目に見えない存在に育まれて、生かされていく少年の魂の成長の物語だ。南部弁と言う独特の訛りで語り「生きることのすばらしさ、大切さ」を歌いあげる。
カーテンコールでは珍しく「友達はいいもんだ」と「いきているってすばらしい」の2曲を観客も一緒に歌い、普段より多い小中学生の声も盛り上がった。
四季は一般公演の前日に広島市内の小学6年生2千人を招待した。
子どもたちの心に生命の大切さ、人を思いやる心、信じあう喜びなど、人が生きていく上で最も大切なものを舞台を通じて語りかけたい…と『こころの劇場』と銘打って、全国67の公演都市で5万人の児童生徒を招待した。劇団四季が長年続けてきた文化の出前、それも子供たちへのプレゼントだ。
創立55年の劇団四季が広島で公演を始めて40年。「オペラ座の怪人」「キャッツ」に続く大型ミュージカル第3弾の「美女と野獣」をこの春公演で、12万5千人を動員して大成功を収めた。それだけに、これまで以上に各方面から広島に四季劇場を…の声は高まる。
市民球場跡地の計画に岡本太郎の「明日の神話」展示の誘致が消えただけに、文化ゾーンの一角に「四季専用劇場」を期待する声は熱烈フアンや経済人ならずとも強い。
劇団四季は暮れの25~6日にも「ジーザス・クリスト」の公演をする国際平和文化都市・広島の支えとして劇団四季への期待は当分の間、続きそうだ。
四季の間尺で言えば「そう簡単では無い」ことは分かっている。しかし、劇団四季には、是非その期待に応えて欲しい。広島はその価値と応える能力がある街と再アピールしたい。
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