TVドラマ「はだしのゲン」がW受賞
フジテレビが昨年8月10日、11日に放送したドラマ「はだしのゲン」が厚生労働省の児童福祉文化賞と橋田寿賀子賞の二つの賞を受賞することが決まった。
「はだしのゲン」は被爆者で漫画家中沢啓治の自伝的な長編漫画で「少年ジャンプ」の連載で人気を集め、昭和50年に単行本で出版(汐文社)され、以来今も学校図書の人気作品だ。映画や舞台それにアニメ映画化もされ戦争の悲惨さと原爆の惨たらしさ恐ろしさを伝える作品として英語・仏・露語版をはじめ韓国・中国語版等にも翻訳されている。
フジテレビのドラマ化は小学3年生の時、学校図書で「はだしのゲン」に出会ったという31才の若きプロデューサー増本淳氏が入社以来ドラマ化を温め実現した。汐文社の吉本会長や中沢さんの紹介で資料収集に来た増本プロデューサーは「戦争という大いなる過ちの歴史が風化しつつある日本で一年に一度、家族みんなで戦争について考えるきっかけにしたい」それには「ゲン」をおいてほかにないと熱く語った。
テレビドラマとしては初放送の「ゲン」は中井貴一と石田ゆり子に小林康のベテラン俳優陣にゲンと進次役の子役たちが熱演し、全国で高い視聴率を得たが関東地区では驚異の30%を確保し話題を呼んだ。是非もう一度見たいと言う声や教材用にと言う支持で今年になってDVD化して発売になった。
昨年の原爆資料館や国立追悼祈念館の入館者の増加は映画「夕凪の街」やTVの「はだしのゲン」の放送が誘因として挙げられているのは関係者にとっても嬉しいことだろう。
厚労省の児童福祉文化賞は昭和34年に児童福祉週間を記念して児童文化の振興を図るため設けられ「優れた児童文化財」を大臣表彰してきた。
橋田寿賀子賞は脚本家の橋田さんが基金を出して平成4年に設立された財団法人橋田文化財団が「広く大衆に支持され、感動を呼びおこし芸術性豊かで放送文化の振興向上に寄与した番組や人」に贈られる。
2つの賞はこの記事が掲載される予定の前後、5月8日と10日に表彰される。
若い世代のテレビプロデューサーが1冊のマンガとの出会いを長い期間大切にした志と取組が『戦争や原爆を知らない世代への贈り物』としてドラマ化され、W受賞する喜びは関係者だけにとどまらずヒロシマにとても嬉しい出来事として拍手を送りたい。
作品は海外の映像コンクールにも出品され、英語版の製作の可能性もあり期待したい。
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