新・老人医療制度は「姥捨て山保険…?」
4月1日から「後期高齢者医療制度」がスタートした。
制度に反対のデモや座り込みが全国各地で行われ、連日の新聞、TVワイドニュースや番組で「強制的な徴収はけしからん」「医療費を取られたら生活できない…」「年寄りに死ねと言うのか」など老人の悲鳴が溢れている。
まだ、5年先とはいえ予備軍として制度の在り方が大変気になる。
そもそもこの制度は現役世代の公的医療保険と別建てで、医療費の抑制を目的に、一昨年、自民党・公明党が強行した制度で75歳以上の高齢者と65歳から74歳までの障害者や寝たきりの人は総てが加入し、一人一人が保険料を負担する。大部分が加入している国民健康保険や息子や娘の扶養家族になっている人も扶養から切り離して加入することになる。
保険料は全国平均で月額6千円。県単位で所得に応じて設けられるため神奈川県は年額9万余、青森県は4万6千円余、ちなみに広島県は6万円余と地域格差が大きい。支払は年額18万円以上の年金収入がある人からは年金から天引きされる。これに既に天引きされている介護保険料4千円が加算され、老人負担は一層重くなる。保険料の滞納が1年超えると保険証が取り上げられるなど運用は厳しくなる。
受けられる医療サービスは同じだが医療機関に払われる報酬は一定額なので、医療内容の低下を招く恐れを懸念する声が強いのは当然と言える。
それにしても、この制度について周知徹底が極めて不十分なことが更に不安を大きくしている。 世代間の負担の公平性を図るだけでなく「高齢者の生活を支える医療」をうたい文句に導入を図ったはずだった。しかし、高齢者負担だけが増えたのでは「医療費削減の思惑だけが先行している」と批判の的になっても仕方ない。
高齢の主人が寝たきりの妻の介護に疲れて心中した…老老介護の悲痛なニュースが相次いでいる。戦後の日本復活を支えてきた世代が今や安心して住める国では無くなっているのではないか。団塊世代が75歳を迎える15年後にはどうなるのか。
長寿大国日本の敬老精神は今や昔話になろうとしているのではなかろうか。
介護保険も同様に問題が多い。年金受給もままならない老人が多いと言うのに「後期高齢者医療制度」は「年寄りに死ねと言うのか…」「姥捨て山…」の声は強い。
与党の中にこうした声にこたえようと言う議員はいないのか、情けないことだ。
野党各党は「天引き中止」法案を参議院への提出を検討しているようだ。
舛添大臣や福田政権の問責が俎上にのぼり政局に発展しかねない問題だ。
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