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2008年3月17日 (月)

中国映画「長江哀歌」

 2006年のベネチア国際映画祭のグランプリ・金獅子賞を受賞し2007年のキネマ旬報ベスト・テンの外国映画部門のトップを飾るなど評判の高い中国映画「長江哀歌」を見た。

 舞台は中国四川省から上海まで6,200キロの中国一の大河・揚子江。重慶から湖北省に至る揚子江の三分の一を遮断してダムを建設する。「長江下り」は人気が高く、李白や杜甫が多くの詩を残し、歴史と文化と伝統を秘めた中国の代表的な景勝地の「三峡」である。
 ‘94年に建設が始まった治水と発電の「三峡ダム」は「万里の長城」以来の大事業と言われ、流域の120万人を超える住民が移住を余儀なくされ、中国が威信をかけた国家プロジェクトで2009年には世界一のダムが完成する。

 画面は冒頭からドキュメンタリーかと思われる貧しい労働者や家族ずれで溢れた長江の乗合船上から始まる。16年前に3千元で買い、その後子供と一緒に姿をくらました妻を探しに山西省からやって来た炭鉱夫。2年間、音信不通の夫を探しに山西省から来た妻。夫々が新しい人生に踏み切るための旅を通して現代中国が抱える大躍進の陰で翻弄され苦しみながらも健気に生きる庶民の姿を愛おしく描き上げる。
 中国はいま、北京オリンピックに向かってまっしぐらだ。中国人民の経済格差は日本など較べようもなく大きい。ここに描かれた人たちは決して最下層ではない。年収が日本円で1~2万円と言う農村の貧民は今も大都市へ出稼ぎに出る“盲流”と言われる層がある。

 貧しい地域の農村を舞台に金で契約結婚し子供を産むと姿を消し、また他の土地で繰り返す「売買婚?人身売買?」が横行した報告がある。子どもはお前の実子かどうか判らないと言う妻の兄。いま妻が寝食を共にしている男は妻を連れ帰りたいと言う申し出に、兄貴の借金3万元払えば良いと同意する。まるで「人身売買?報告」を地で行くような背景が描かれている。その一方で夫を探す妻は夫と金持ちの女との関係を知り、離婚を申し入れて去って行く。
夢も希望もなく黙々とその日を送る庶民たちに「酒」と「煙草」に「お茶」と「飴」を暮らしの味付けに画面に取り入れて印象づける手法を取っている。

 若い監督は中国の現実に目を注ぎ、政治的な臭いはしないものの、失われる自然と歴史・文化や伝統に崩れる庶民の暮らしと人の絆に悲しみを込めて精一杯の告発をしているようにも思える“哀歌”『悲歌』だ。北京や上海など大都市や観光名所を訪ねる中国旅行からは計り知れない中国庶民の深層部に触れた力作だが見る人によって評価は大きく分かれよう。
 発展途上にある中国が抱える余りに大きく多い現実問題を「消えゆく三峡」に借りて描いた社会派の告発映画と見れば納得がいく作品だ。

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