高齢者受難時代
昨年の全国の交通事故による死亡者が5743人で、7年連続で減少し54年ぶりに5000人台になった。県内の死亡事故も57年ぶりに140人を下回る喜ばしい傾向だった。
警察庁の発表によると昨年中の事故は83万3000件余で前年より5万3800件余減っている。負傷者も6万3700人減って103万4500人余。死亡者は過去最悪だった’70年の約三分の一で’00年をピークに減り続けている。
改善の背景は道交法の改正で飲酒運転の取り締まり強化やシートベルト着用の促進がある。
これに対して自殺者の数は年々増加傾向で年間に3万人超えはすでに10年続いている。
昨年は’04年の3万4000人と’01年に続いて3万3000人を超えた。この陰にある自殺未遂は10倍と言われているから毎年30万人、日に1000人近くが自殺を図っていることになる。
自殺者の数は交通事故の6倍にのぼり、イラク戦争で戦死した米兵の10倍で‘60~’70年代の「交通戦争」は今や見えざる「自殺戦争」時代になっている。
しかも日本の人口10万人当たりの自殺率は米国の2倍、英国の3倍で先進国では群を抜いて高率になっている。
このうち60歳以上の高齢者の占める割合は交通事故による死亡者はこの10年間で7~8%増えて34~5%になり、負傷者も2%増えて全体の9から10%を占めている。
自殺者の場合も三分の一の1万1000人余を高齢者が占めている。
自殺者を原因や動機別でみると健康問題が41%、経済・生活問題が約30%を占めており高齢者の場合も同じ傾向にある。
高齢者の交通事故で第一当事者つまり過失責任者に当たるケースはこの10年で2倍近く増えており、高齢者の安全運転指導の強化に加えて免許の自主返納が指導されている。
反面、免許を返納したら暮らせない過疎地の高齢者が多いい事実も見逃せない。
昨年の自殺者の中には生活保護支給を拒否されたり返上したケースが報告されている。
国民健康保険や年金の掛け金支払いが出来ない人が増え米国並みの入院先の病院から追い出されるケースも報道されている。加えて、最近の老老介護を巡る自殺や心中事件の多発は目に余るものがある。
経済成長を支えてきた世代の高齢者に経済大国日本の歪みや格差がいま大きく被さってきているのではなかろうか。誰もが貧しかった時代には考えられなかった「高齢者受難」を、改めて政治課題として考える必要に迫られているのではないだろうか。
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