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2007年5月20日 (日)

故郷への贈り物

 今年も部谷京子(へやきょうこ)さんの広島通いが始まった。
毎年、この時期には8月5~6日に元安橋のたもとで展示する影絵展の打ち合わせにやって来る。
 女学院の同級生仲間が地元での受け入れをボランティアで支え続けている。

部谷京子。映画の世界ではちょっと名の通った売れっ子美術監督である。最近作は周防正行監督作品『それでもボクはやっていない』。電車の中の痴漢行為で逮捕された青年が孤立無援のなかで潔白を証明しようと日本の司法の壁に挑戦する今日的課題を画いた作品。

 彼女が映画美術に入ったきっかけは美大時代のアルバイト。偶然知った世界だった。
「こんな面白い仕事があるのか」と感じて迷うことなく飛び込んだ。最初の作品が周防監督の「シコふんじゃった」。以後、シンガーでユニークな才能を発揮している石井竜也監督の「河童」など30数本の美術監督を務めている。

 ‘95に「RAMPO」(奥山和由監督)で日本アカデミー優秀美術賞を受賞いらい’97「Shall we ダンス?」(周防正行監督)‘98「誘拐」(大河原幸夫監督)’00「金融腐蝕列島“呪縛”」(原田真人監督)‘02「陰陽師」(滝田洋二郎監督)’03「突入せよ!“あさま山荘事件”」(原田真人監督)‘04「陰陽師Ⅱ」(滝田洋二郎監督)’04「壬生義士伝」(滝田洋二郎監督)‘06「北の零年(行定勲監督)と9作品で受賞実績をつむ実力派の美術監督である。

 その彼女が故郷広島に関わったのは‘03の原爆で人生を翻弄された女性の物語「鏡の女たち」だった。映画制作を通じあまりにもヒロシマを知らず「何かしなければ」と急き立てられるような気持になった。

 そんな時、被爆60周年の企画「日野原重明・小澤征爾 世界へおくる平和のメッセージ」に出会った。女学院時代の恩師黒瀬真一郎先生(院長・理事長)の紹介で演出スタッフとしてボランティア参加した。毎週のように東京と広島を行き来して市内に残る被爆樹木150本を撮影し日野原さんの詩の朗読の効果映像を投影し平和を訴えた。

 この経験を通して故郷広島に自分の出来ることで関わりを深めたいという思いを強くした。‘05年8月5~6日、友人の浜崎ゆうこさんと一緒に作った「小さな祈りの影絵」を元安橋のたもとで展示した。素朴な影絵作品は、多くの市民の足をとめ注目を集めた。
昨年は大平数子さんの原爆詩「慟哭」をテーマに取組んだ。CGに慣れ親しんだ子 どもたちも、電球に照らし出される暖かい色合いの幻想的な影絵に長時間座り込んでお母さんの説明に聞き入る姿が見受けられた。
 
受け入れから展示、撤収から市内の巡回展示までを支えるのは部谷さんの女学院時代の同級生が中心になって取組んでいる。幼稚園、公民館、会館ロビー、小中学校などを1年がかりで巡回している。

 今年のテーマは被爆前の市民生活の中にあった「懐かしい広島の遊び」だという。どんな作品が出来上がるのか今から楽しみにしている人達は多い。
また、影絵展3年分の作品を集めた絵本「浜崎ゆうこ作品集」の出版計画が進んでいる。
悲惨さを訴えるのではなく市民の暮らしの中にあった暖かさを通して原爆の恐ろしさを訴えるこれらの作品が子どもたちの平和教育の教材としても蘇る事も喜ばしい。

 部谷さんが映画を通して知ったヒロシマへの鎮魂の思いを職能を活かした形で毎年発展させる心意気は自分が育まれた故郷への恩返しであり、心からの贈り物である。仲間の輪を徐々に広げながら今年も実を結びつつある。
 心から拍手を送り期待したい。

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コメント

「小さな祈りの影絵展」のお手伝いをさせていただいております。
昨年の8月の大平数子さんの作品は、5月21日より女学院大学のチャペルで、6月11日からは中国新聞社1階にて巡回展示をしますので、まだご覧になっておられない方は、ぜひ実物を見てやってください。きれいで、やさしくて、かわいい作品ですが、その分だけ、悲しみや、寂しさや、切なさが伝わってきます。
今年はいよいよ3回目。場所は本通りから平和公園に向かう元安橋東詰めです。8月5日の夕方から設営が始まります。展示は翌
6日の夜まで、ずっとしております。お参りにおいでの折りにお立ち寄りください。期間中の飛び入りのお手伝い大歓迎です。
若い中高生たちも賛同して助っ人にやってきてくれます。
国民投票法案も成立し、「この子たちの平和な未来の保証は?」と思わずにはいられません。
光の向こう側に手を差し伸べたくなる影絵ほど、ヒロシマに似合う芸術はないでしょう。野外展示は、それはそれは美しいです。鑑賞されるのでしたら、日が落ちる夕刻からをオススメします。闇が迫るのと歩調を合わせるように、影絵も刻々と色を変えてきますから。

「小さな祈りの影絵展」のお手伝いスタッフから、このウェブログをご覧のみなさまにお願いがあります。
今年の影絵展のテーマは、戦前の「子どもたちの遊び」がテーマです。原爆を落ちることを知らずに遊ぶ子どもたちの無邪気で平和な風景を取り上げます。
「こようにして遊んどったわいね」と、思い出してくださる方がおられましたら、遊び方だけでなく、その時の周囲の景色、遊んでいた仲間、服装、髪型・・・何でもいいので教えてください。
たかが「子どもの遊び」ですが、人に優しく、考え方が豊かで、文化の深かった時代があぶり出されてくるように思います。
みなさんのご意見を集約した、みなさんの影絵展になればと願っています。どうぞご協力を!!

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