憲法9条を世界遺産に
爆笑問題のお笑いタレント太田光氏と文化人類学者の中沢新一氏の対談「憲法9条を世界遺産に」新書を読みました。
これがメチャ面白いのです。
問題提起は太田氏で、その問題提起に感動した中沢氏が学問的に裏打ちするという感じですが、
太田氏の知識もなかなかのもんです。
「なぜ世界遺産にするのかといえば、自分たちの愚かさを知ることです。
そんなこと言わなくて守れるなら、ほっとけばいい」
「健保9条はたった1つ残された夢であり、理想であり、拠り所です」
「それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と敗戦からようやく立ち上がり、
2度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人の奇跡の合作と言うべきものだった」
と言うのです。
その姿を、
「ドンキホーテ的憲法とサンチョパンサの入れ知恵に例えている」のも、面白いところです。
それは本音と建前を巧妙に使い分けて進む日本的知恵そのものだともいえそうです。
明治維新の時には突如天皇制が出てきて、徳川幕府が倒されましたが、
片方だけで突き進んだ第2次大戦に負けると、
今度は象徴天皇制といい、民主主義だといい、憲法9条を唱えているのです。
そして憲法を改正しようと言いながら、
自衛隊を防衛省にしたり、憲法9条の2を作ろうとしたり、閣議決定と称して自衛のための戦力を持ったりします。
憲法改正を実現するのはどうもメチャ難しそうです。
「国家が動くレベルと、市民社会の個人が動くレベルとは違っていいのだ」ともいっています。
太田光氏、中沢新一氏が言うように、
「憲法9条を世界遺産に」は案外現実的であり、効果的かもしれません。
今からでも遅くはなさそうです。
この本の発行は2006年8月と、17年前で随分古いのですが、
ロシアがウクライナ侵攻をし、北朝鮮が明日にも日本を攻撃をしようかという姿勢を見せている時にこそこの本は読まれるべきだろうと思えます。
中近東やアフリカでは日常的に戦いはされています。
そしてこんな時にこそ
被爆国日本、被爆地広島、世界平和市長会議、G7サミットが主導して
「憲法9条を世界遺産に」すべきだろうと思います。
いかがでしょうか。
元安川
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